【日本の労働問題】コロナ禍で生じた労働問題に対して人材会社ができることとは?

緊急事態宣言の解除で「ウィズコロナ」時代の新しい日常がスタートして、経済が日々厳しさを増す中、今最も必要とされている経営戦略は何か。本記事では、コロナの影響に伴う労働問題について、人材ビジネス業界の経営者が取るべき事業戦略について分かりやすく解説します。

 

 

 

    • 2020年4月の調査データのおさらいと最新の有効求人倍率の現状

 

2020年4月の有効求人倍率は1.32倍となり、前月を0.07ポイント下回りました。4月の新規求人は前月同月と比較すると31.9%の減少となり、業界ワースト5が、宿泊業,飲食サービス業(▲47.9%)、生活関連サービス業,娯楽業(▲44.0%)、製造業(▲40.3%)、教育,学習支援業(▲38.1%)、学術研究,専門・技術サービス業(▲36.6%)となりました。

 

一般職業紹介状況

2年4月 2年3月 31年4月 対前年
有効求人倍率(倍) 1.23 1.43 1.52 ▲ 0.29
新規求人数(人) 656,148 834,554 963,317 ▲ 31.9

【出所】厚生労働省「一般職業紹介状況(令和2年4月分)」

 

2020年4月の完全失業率は2.6%となり、就業者数、雇用者数は共に88ヶ月ぶりの減少です。

月次(季節調整値)
2年1月 2年2月 2年3月 2年4月
完全失業率 2.4% 2.4% 2.5% 2.6%
  ※就職者数は6628万人。前年同月に比べ80万人の減少。

雇用者数は5923万人。前年同月に比べ36万人の減少。

完全失業者数は189万人。前年同月に比べ13万人の増加。

【出所】総務省統計局「労働力調査(基本集計) 2020年(令和2年)4月分結果」

 

有効求人倍率が下がると、完全失業率が上がるなどのある程度の反比例の関係にあります。休業者数の雇用維持のために全力を尽くすと考えられるため、改めて人材会社がどのような形で支援していくべきか、という社会的意義が高まっているのは私達の課題です。

 

また、2021年10月の最新の有効求人倍率は1.15倍と、コロナ禍の影響が依然として続いているのが現状です。

 

    • コロナ禍で生じる労働問題とは?

新型コロナウイルスの影響により多くの企業活動に多大な影響が出ており、今後コロナ感染やその対策の長期化に伴い、益々さまざまな困難が発生すると思います。ここで、労働者と事業主を取り巻く状況の変化についてまとめます。

 

  • ◆非正規労働者の解雇・雇い止め

新型コロナウイルス関連の解雇や雇い止めが5月21日(2月からの集計)に1万人を超えていた。景気の影響を受けやすい派遣社員など非正規労働者の人数は前年同月比で97万人減少し、解雇、雇い止めの人数は5千人超えと見込まれている。特に製造業、観光業、外食産業などは大きな打撃を受け、政府は労働者派遣法の改正や雇用助成金など、雇用維持策を相次いで打ち出しています。

 

  • ◆外国人研修生・技能実習生の受入れの停止

法務省の統計による、2019年末の時点で在留外国人は293万人と過去最大を記録し、技能実習が前年から25.2%増の41万972人に伸びた。2019年4月からは特定14業種での新たな在留資格「特定技能」を持つ外国は1621人だった。

 

しかし、新型コロナウイルスの第二波、第三波のリスクを予防するために入国拒否などの措置を設け続け、外国人研修生・技能実習生が来日できなくなり、日本にいる外国人技能実習生も、コロナの影響で勤務先の会社が倒産しかけていたり、仕事がなくなっているなど、厳しい状況が続いています。

 

    • ◆時差出勤・テレワークの導入による問題

感染拡大の防止という外部要因により、多くの企業は「強制的」に時差通勤やリモートワークを進められていますが、政府の調査では、コロナ直前にリモートワークを導入済みの企業はまだ20.2%と少数派です(総務省「令和元年通信利用動向調査」より)。急な導入による、従業員の労働時間の管理や就業規則の変更、または情報・セキュリティ対策など、企業や労働者はテレワーク移行に対して多くの課題に直面しています。

 

    • 人材会社がいま取り組むべきこととは?

緊急事態宣言は2020年5月25日に第1回目が、2021年9月末日に第4回目が全面解除されました。人々の行動は3密状態を避け、ソーシャルディスタンスを保つことがこれからの当たり前になっています。逆風は利用すれば追い風になります。ウィズコロナ時代における新しい働き方に向け、人材会社としてどのように貢献できるのか具体的に説明します。

 

(1)雇用維持のため「従業員シェア」を始めよう

新型コロナウイルスに伴う経済活動の停滞で、多くの企業が事業の縮小や従業員の休業など、様々な影響を受けています。一方、医療・介護や農業、物流などコロナの影響による急な需要拡大により人員が不足し、需要量に対して対応出来ないケースも多く、従業員への負荷も増大しております。そこで、人材面の橋渡し役を務める人材会社として、休業している従業員を人手が不足している産業へ、人材の「出向」という自社以外の従業員を一時的に受け入れることにより、雇用維持と人手不足の同時解決を目指す「ワークシェアリング」というの互助システムを作りましょう。

 

人材シェアの動きが見られ始めたのは、中国のアリババグループです。中国の大手外食チェーンの「西貝莜面村」では、グループにある約400店舗のうち、300以上の店舗は営業を中止し、休業している2万人以上の従業員に対して毎月1.5億元(約24億円)を支払わなければならない。この苦境の中、アリババは西貝の従業員を、自社の生鮮スーパー「盒馬生鮮」のデリバリー部門に一時的に受け入れました。

 

仕組みについて、受け入れ先の「盒馬生鮮」は、人員に対して必要な研修を実施、出向期間の費用(賃金など)を支払う。送り出す企業は、従業員との雇用契約を維持したまま、社会保険の費用などを負担する。こうして西貝にとって、賃金支払いの負担を軽減され、従業員の待機問題を解決できました。盒馬生鮮にとって、急増する注文への対応ができ、まさに双方にもっと有利な働き方を実現できた。

 

日本では、すでに外国人技能実習生の来日が困難になって農業の生産者に対して、旅行客が急減した関係で売り上げも急減し従業員の雇用が難しくなっている観光業の方々を人材マッチングするケースが見られます。人材会社はこのような「従業員シェア」は継続して活用すれば、繁忙期、閑散期に合わせて労働力を再配分でき、企業と従業員の双方にとって効率的な働き方があるかもしれない。

 

(2)在宅ワークの環境構築を支援する

時差出勤・テレワークが増え、日本企業で見られてきた時間管理を土台とした形から、本来の時間管理型から欧米の成果主義型へと移行しました。緊急事態下では、急遽テレワークを導入した企業に対して、今後、自社にとっての在宅勤務とリアル出社の最適なバランスを見つけるため、人材会社は以下の支援策を検討されることをお勧めします。

 

  • ①テレワーク環境を構築できる人材を紹介する

 

中小企業においても、在宅勤務・テレワークの推進は重要な課題であるが、情報システムに関する人材・ノウハウの不足に加え、急遽な実施により、テレワーク環境の整備が十分整わないままに、情報漏えや生産性低下など多くの問題が発生しました。在宅勤務やテレワークの推進が円滑に進むよう、人材会社を通じて、必要なスキルを持つIT人材を積極的に採用することが必要です。ITに関する知識、システムやセキュリティなど多くの知識やスキルを持つ担当者がいれば、ネットワークやセキュリティを強化でき、安心安全なテレワーク環境の構築につながります。

 

また、多様で柔軟な働き方を実現することは、労働者側のメリットのみならず、企業側にとっても優秀な人材の獲得と維持、新事業創出の促進、事業継続性の向上など競争力強化につながると考えられます。

 

  • ②在宅できる仕事に人材を派遣する

 

今後、コロナに負けない“持続可能”な雇用は、在宅で勤務できる「在宅勤務型の人材派遣」です。その名の通り、自宅で派遣社員として働く働き方のことです。

 

在宅勤務可能の職種は

①人事・総務

②経理・財務

③広報・PR

④企画・マーケティング

⑤カスタマーサポート・営業支援

など多岐に渡ります。

 

企業にとって、経理やWEBマーケなどの採用難易度が高い職種でも優秀な人材を採用可能となり、コストの削減が実現できます。また、業務を派遣に切り分けることで、正社員1人にかかる業務負担を減らすことで、生産性と社員の定着率を向上させます。

 

    • 最後に

新型コロナウイルスの影響で、事業活動が支障をきたしている地方企業が数多く存在しています。人材会社は、事業を通じて個人が安心して働き続けることができる仕事と環境を提供しています。

 

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参考サイト

 

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00037.html

厚生労働省 「一般職業紹介状況(令和2年4月分)について」

 

https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/tsuki/index.html

総務省統計局 「労働力調査(基本集計) 2020年(令和2年)4月分結果」

 

https://www.nri.com/jp/keyword/proposal/20200416

NRI 「中国の新型コロナ対応で生まれた従業員シェアリングの試み」

 

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/statistics05a.html

総務省 「通信利用動向調査」

 

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