紹介予定派遣とは?紹介料や期間など、紹介予定派遣の基本的な流れや契約ついて詳しく解説

紹介予定派遣とは何か、概要の解説や、紹介予定派遣の紹介料の決め方、契約書の作成方法などをご紹介しております。また、試用期間から正社員までの流れや、法律で注意すべき点など、分かりやすく解説しております。これから紹介予定派遣を事業として検討している場合は是非ご一読下さい。

 

紹介予定派遣とは

紹介予定派遣とは、人材派遣業で3つに大別される形態の1つです。
1)一般派遣(登録型派遣)
➢ 派遣の仕事を希望する人材を人材派遣会社に登録し、希望や条件に合う派遣先企業との派遣契約が結ばれた時に、派遣社員として雇用契約を結びます。

2)特定派遣
➢ 派遣会社と派遣社員が正社員同様(無期限)の雇用契約を結んでおり、必要に応じて派遣先企業に派遣されますが、派遣契約終了後も派遣会社での業務が継続します。システムエンジニアなどの一定のスキルが必要な業種に多いです。

3)紹介予定派遣
➢ 派遣社員が派遣先企業と直接契約(正社員・契約社員)を結ぶことを前提に、一定期間(6ヶ月まで)の人材派遣を行うシステムです。

一方で、紹介予定派遣を行うためには、一般派遣や特定派遣といった通常の派遣業務をおこなうために必要な資格や許認可とは別に、「人材紹介業」で必要な資格や許認可を得る必要があります。(詳しくは「紹介予定派遣を行う会社に纏わる法律」にて解説します)

紹介予定派遣の基本的なルール

1)派遣期間
➢ 紹介予定派遣の場合は、派遣期間は最長6か月と定められています。

2)紹介予定派遣の事前の明示
➢ 派遣会社は、紹介予定派遣として雇用する派遣社員に、事前にその旨を明示する必要があります。また、既に一般派遣や特定派遣として雇用している派遣社員を、紹介予定派遣として稼働する場合にも、本人にその旨を明示し同意を得る必要があります。

派遣社員との違いについて

派遣社員は「派遣会社」と雇用契約を結び、「派遣先企業」に労働を提供します。そのため、業務の指示などは「派遣先企業」から受けますが、給与は「派遣会社」が支払います。

紹介予定派遣については、派遣先企業と派遣社員の両者の合意があった場合に、そこで直接雇用されるといった点が、一般派遣や特定派遣と異なるところです。

また後述しますが、一般派遣や特定派遣では禁止されている派遣就業開始前の面接や履歴書(職務経歴書)の送付が可能である点も、紹介予定派遣特有のものです。

正社員との違いについて

正社員と派遣社員の違いは、「雇用契約を結ぶ会社」と「実際に働く会社」が違うという点です。つまり、直接雇用であるかないかの違いであり、正社員やパートであれば、雇用契約を結んだ会社で働き、給料が発生することになります。

契約社員との違いについて

契約社員と派遣社員の違いも、正社員との違いと同様、直接雇用であるかないかのちがいになります。
ただし、契約社員にも派遣社員にも以下のような「勤務期間」についての規定があります。

契約社員の場合
➢ 同一企業で5年間勤務した場合、無期雇用契約へ転換する権利を得られます。注意点としては、あくまでも権利であり自動的に無期雇用契約になるわけではないという点です。
一般派遣・特定派遣の場合
➢ 同一業務で3年間勤務した場合、派遣先企業はその派遣社員と直接雇用契約を結ばなければならない義務が発生します。注意点としては、直接雇用=正社員ではなく、契約社員やパートなども含まれるという点です。

紹介予定派遣の場合
➢ 最長6か月間の派遣を行った後に、派遣先企業と派遣社員の合意があった場合は直接雇用契約が結ばれます。なお、派遣先企業や派遣社員のどちらか一方の都合で合意に至らなかった場合、その理由を明示する必要があります。注意点としては、一般派遣や特定派遣と同様に、直接雇用=正社員ではなく契約社員やパートなども含まれるという点です。

 

 

紹介予定派遣を始めるには

紹介予定派遣は人材派遣業の1つの形態ではありますが、下記のように業務の過程では2つの業態を同時に行っています。

人材派遣業を行う場合と、人材紹介業を行う場合のいずれにおいても、それぞれ厚生労働大臣の「許可を受ける」必要があります。

紹介予定派遣を行う会社に纏わる法律

(平成29年1月現在)
まず人材派遣業を行うには、社内に「派遣元責任者」が1人以上必要です。
同様に、人材紹介業を行うには、社内に「職業紹介責任者」が1人以上必要です。
これらの「派遣元責任者」「職業紹介責任者」は特に勉強が必要なものではなく、それぞれ全国の主要都市で定期的に行われている「派遣元責任者講習」「職業紹介責任者講習」を受講するだけで資格を取得できます。
受講に関しては、年齢や職業の如何にかかわらず、受けることができます。
申し込みについては、厚生労働省のホームページ内に案内があります。
なお、実務において派遣元責任者と職業紹介責任者を同一人物が兼任することはできません。

次に、ここがおそらく一番のハードルになるところですが、人材派遣業を行う会社には、派遣先企業への安定した派遣社員の派遣と、派遣社員への安定した給与の支払いができるよう、以下のような一定の財産基準が設けられています。

また、人材紹介業においても一定の財産基準が設けられています。

※ 2017年8月に基準改正が行われ、地方自治体が企業と債務保証や損失補填の契約を結ぶことを条件に、これらの要件を満たさなくても事業をすることが許可されることになりました。(2017年12月更新)

加えて、派遣法では派遣社員を保護するために以下のような規制を設けています。

期間制限

無期雇用、60才以上、有期プロジェクト業務(終わる時期が明確なもの)、日数限定業務、産前産後・育児・介護休業代替業務で働く人を除いて、以下の2種類の期間制限を設けています。

1)派遣先企業の同一の事業所が派遣社員を受け入れられる期間は、原則として3年が限度になります。

2)1人の派遣社員が派遣先企業の「同じ部署」で勤務できる期間は、3年が上限になります。

3)紹介予定派遣の場合は、派遣期間は最長で6ヵ月になります。

禁止事項

派遣法では、以下のような派遣を禁止しています。

➢ 禁止業務への派遣
1)港湾運送業務(人材紹介業においても禁止)
2)建設業務(人材紹介業においても禁止)
3)警備業務
4)病院等における医療関連業務
(医療関連業務は、紹介予定派遣の場合には可能です)

1)無許可・無届けの派遣

2)期間の制限を超える派遣

3)二重派遣
◇ 派遣先が派遣されたスタッフを、さらに別の会社に派遣して働かせること

1)もっぱら特定の相手だけに派遣することを目的とした派遣

2)労働争議(ストライキやロックアウト)中の企業への新たな派遣

3)派遣期間制限に抵触する日の通知を受けないで行う派遣

4)認められている業務や派遣社員以外の日雇い(派遣会社との労働契約が30日以内の)派遣

5)離職後1年以内の退職社員の派遣

◇ 派遣前の派遣先における面接や、履歴書の送付
(派遣社員本人が希望した場合、紹介予定派遣の場合は可能)

有料職業紹介事業の紹介手数料については、「上限制手数料」と「届出制手数料」のいずれかを選択し徴収することができます。
現状のビジネスモデルでは「届出制手数料」を選択するケースが大半のようです。

上限制手数料

➢ 支払われた賃金額の10.8%相当額を上限に徴収できます。

届出制手数料

➢ 求職者の年収の50%を上限に徴収できます。
現状では、25~30%が紹介手数料の相場となっているようです。

総括

紹介予定派遣を行うためには、人材派遣業と人材紹介業のどちらも行える資格や許認可が必要ということがご理解いただけたと思います。一見、煩雑に見える資格や許認可の基準ですが、実際にはとても単純な手順であり、実務においてはかなり大きなメリットになります。
人材派遣業は、継続的な安定した収益が期待できる一方でコストが多くかかる業態であり、一方の人材紹介業はコストがほとんどかからない代わりに収入が安定しないという業態です。この2つを同時に行えるということは、つまりいいとこ取りができるということになります。
紹介予定派遣を利用する派遣先企業や派遣社員にとってもメリットが大きく、社会貢献度の高い業態ともいえるでしょう。
先述した資格や許認可などでひと手間増えてしまう部分はありますが、それを差し引いてもメリットの大きい、魅力的な業態なのではないでしょうか。

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あわせて読みたい

紹介予定派遣の実態については、以下の記事をご覧ください。
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参考サイト

紹介予定派遣の概要 – 厚生労働省

紹介予定派遣と一般派遣の違いは?知っておきたい雇用形態の詳細|キャリアパーク[転職]

人材派遣会社が、紹介予定派遣を行う場合

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