目次
1、有料職業紹介事業許可申請マニュアル
人材紹介事業を行う場合は、事務所を置く都道府県の労働局に必要書類※1を提出する必要があります。
また、許可申請は事業開始予定時期のおおむね2~3か月前までに行う必要があります。
さらに、許可申請に先立ち、事業主あるいは社員の1人以上が職業紹介責任者講習を受講している必要があります。
許可申請の際、「許可手数料(5万円~)」と「登録免許税(9万円)」を納付する必要があります。
※1 以下の書類が必要です。
・有料職業紹介事業許可申請書(様式第1号)3部(正本1部、写し2部)
・有料職業紹介事業計画書(様式第2号)3部(正本1部、写し2部)
・届出制手数料届出書(様式第3号)3部(正本1部、写し2部)
➢上限制手数料による場合には提出は不要です。
なお、届出制手数料(上限制手数料)については、「紹介手数料で受け取れる金額の上限
」にて後述します。
・添付書類2部(正本1部、写し1部)
以下では、より詳細な設立・運営に関する情報についてまとめています。
2、人材紹介会社と人材派遣会社の違い
人材紹介会社とは、厚生労働大臣の許可を受けて職業を紹介する業態の会社のことを指します。
同じ人材ビジネスの人材派遣会社との明確な違いは、派遣した(紹介した)社員と派遣会社(紹介会社)が雇用契約を結ぶか結ばないかの点になります。
人材派遣会社では、職業を紹介することに加えて、その雇用者と雇用契約を結び派遣先企業に派遣する業態のことを指します。
一方で人材紹介会社は、取引先企業に候補者を紹介し、雇用が決定した場合に雇用契約を結ぶのは取引先企業とその候補者になります。
3、紹介手数料(報酬)について
現状では、市場において特に定められているわけではありませんが、求職者の想定年収の30%~35%が相場のようです。よって、想定年収が400万円であれば(400×30%=)120万円の報酬が発生するということです。
なお、後述しますが、紹介手数料で受け取ってよい金額の上限は法律によって定められています。
4、人材紹介ビジネスの原価率
上記のように、1人の求職者と求人者のマッチングに成功すれば100万円以上の報酬が発生するわけですが、実は求職者1人あたりの原価はほとんどかかっていません。
人材派遣事業と異なり、特に教育訓練を求職者に施す必要がありませんから、同じ人材ビジネスでも原価率が飛びぬけて良いのです。
5、人材紹介ビジネスの利益率
人材紹介業の上位陣では、だいたい20~35%で推移しています。
原価がほとんどかかっていませんから、経費を削減できればさらに高い利益率を実現することも可能です。
上記のように、人材派遣では継続的に収入が得られる一方で、派遣社員にかかる保険料や教育訓練といった費用も多くかかるので利益率は低めですが、人材紹介ではそういった費用がかからない=原価がほとんどかからないために利益率が高い傾向にある点が、人材派遣業と人材紹介業のビジネスモデルの違いといえます。
なお、人材紹介業には以下の3つの種類があります。
・一般紹介・登録型
➢求人の依頼を受けてから、求職者に企業を紹介し、希望する候補者を求人者に紹介する最もポピュラーな形態です。
・サーチ型
➢求人の依頼を受けてから、条件に合う現役で働いている人材を求人者と引き合わせます。ヘッドハンティングとも呼ばれ、役員クラスでの求人依頼が主になります。
・再就職支援型
➢リストラの対象になった社員等を再就職できるように支援する形態です。
6、人材紹介業の許可、設立に纏わる法律
(平成29年1月現在)
会社を設立する際に必要な会社法の基本的な理解とは別に、人材紹介会社を設立・運営していくために必要な諸制度についてご説明します。
必要な講習
まず人材紹介業を行うには、社内に「職業紹介責任者」が1人以上必要です。
この「職業紹介責任者」は特に勉強が必要なものではなく、全国の主要都市で定期的に行われている「職業紹介責任者講習」を受講するだけで資格を取得できます。
受講に関しては、年齢や職業の如何にかかわらず、受けることができます。
申し込みについては、厚生労働省のホームページ内に案内があります。
許可基準・許可番号とは
人材紹介業を行うには、一部の例外を除いて厚生労働大臣の「許可が必要」です。
一部の例外とは、「学校や専修学校、農協や商工会議所などが手数料も報酬も受け取らないで行う」場合、厚生労働大臣への「届出が必要」です。
許可申請は、都道府県の労働局にて行います。
厚生労働大臣の許可を受けた場合、以下のような許可番号が与えられます。
例:「01-ユ-300005」
➢01:都道府県を示す番号(この場合は北海道)
➢ユ:業種の種類(有料職業紹介事業)
・無料職業紹介事業の場合は、「ム」になります。また、特別の法人については「特」、地方公共団体の場合は「地」と表記されます。
➢300005:事業主に割り振られる番号
許可番号は厚生労働省から許可を受けた適正な人材紹介会社であることを証明するものになります。人材紹介会社を利用する際の与信としてこの番号の提示が求められます。
次に、ここがおそらく一番のハードルになるところですが、人材紹介業を行う会社には、以下のような一定の財産基準が設けられています。
なお、事務所の広さの規定が別途で存在しますが、インターネットによる対面を伴わない職業紹介のみを行う場合には、面積の要件はなくなります。
7、人材紹介業の運営に纏わる法律
職業紹介してはいけない業務や、紹介手数料についての規定があります。
・職業紹介が禁止されている業務
➢港湾運送業
➢建設業
紹介手数料で受け取れる金額の上限
有料職業紹介事業の紹介手数料については、「上限制手数料」と「届出制手数料」のいずれかを有料職業紹介事業の許可申請時に選択し徴収することができます。
現状のビジネスモデルでは「届出制手数料」を選択するケースが大半のようです。
・上限制手数料(厚生労働省で定める手数料)
➢支払われた賃金額の10.8%相当額を上限に徴収できます。
・届出制手数料
➢求職者の年収の50%を上限に徴収できます。
8、人材会社設立をお考えの方へ
人材紹介会社を設立するためには資本金などの基準が設けられており、細かい規制もあることからハードルが高いと感じる方もいるかもしれません。しかし、同じ人材ビジネスである人材派遣業で設立する場合と比較すると、かなり基準も緩和され規制もごく単純なものになっています。加えて、利益構造もシンプルでわかりやすいため、人材派遣業よりも参入のしやすい業界ということができます。女性や高齢者の労働者が参入し、これまでとは異なる新しい働き方が模索される昨今、人材紹介業の社会的意義も日に日に増しており、より貢献度の高い魅力的な業界ということができるのではないでしょうか?
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参考サイト
職業紹介事業パンフレット―許可・更新等マニュアル― |厚生労働省