紹介予定派遣の面接から採用までの流れ
まず前提として、面接は実際に紹介予定派遣として求職者が派遣される前に行われることが一般的です。面接とは別に、履歴書や職務経歴書などでも選考を行うことも可能です。
また、直接雇用契約を結ぶ際に改めて面接などの選考を行うこともあります。
よって派遣会社は、派遣社員が派遣先企業に採用されるように、また辞退しないようにあらゆる面からサポートすることで、成約率の向上につながります。
面接
面接日時の設定
➢ 紹介予定派遣の合意を求職者と得た場合は、次に面接日時を求職者と派遣先企業とすり合わせながら、だいたい1週間以内に確定する必要があります。なお、面接の有無や実施するタイミングは派遣先企業によります。
面接対策
派遣会社としては、まず面接当日に必要なものや心構えなどを事前に求職者に伝えるのが良いでしょう。必要に応じて、面接企業についての情報や面接の対策などのサポートを行います。
実際に面接を受けるのは求職者であり、面接では1対1であることがほとんどです。よって、求職者本人が意欲的に取り組まない限り面接で不採用になる確率が高く、必要以上に手取り足取りのサポートをするのはかえって逆効果になることもあります。
求職者のスキルや特性などの基本的な情報は、紹介予定派遣が確定した時点で派遣先企業と共有されています。よって、面接や履歴書などで詐称や誇大を行うことは、一般的な面接よりもリスクが大きいことを求職者に伝えたうえで、派遣会社に対して提出したプロフィールなどにそういった箇所がないか、再度確認するとリスクを軽減することが可能です。
面接
➢ 所要時間は企業によってまちまちですが、中には1時間を超える面接を行う企業もあるようです。このような企業の場合、付け焼刃な知識や動機では準備不足と捉えられ、不採用になる確率が高いです。以下の4つは、面接で必ず聞かれる項目ですので、少なくともこの4つは答えられるようにするべきでしょう。
・志望動機
・前職の退職理由
・なぜ紹介予定派遣を選択したのか
・求職者からの質問
採用
無事に面接に合格した場合、次は紹介予定派遣として派遣先企業に派遣されます。(面接のタイミングによっては前後する可能性があります。)派遣されてから最長6ヵ月の間、派遣社員と派遣先会社は以下のことを行っています。
派遣社員
➢ 派遣先企業の社風や職場の雰囲気、労働環境などを実際に働く中で感じ取り、来たる派遣先企業との直接雇用契約の合意の判断材料にしています。
派遣先企業
➢ 面接や書類で得た派遣社員の情報と、実際に働く派遣社員のスキルや所作が合致するか、直接雇用するに足る人材であるかを判断しています。
派遣会社としては、派遣社員に所作に注意を促すなどの最低限のサポートしかできず、来たる直接雇用契約の合意については関与するところがありません。
場合によっては、派遣先企業が直接雇用にNOを出したり、その逆のケースになったりすることもあります。
しかし、派遣会社としては直接雇用契約を結んでもらわなければ利益を生むことができないため、できれば両者の合意を得たいところです。
以下では、不採用となる主要なケース別に派遣会社が取り得る対応についてご紹介します。
求職者が辞退する理由4選
直接雇用契約を結ぶに至らなかったケースで最も多いのが、実は求職者が辞退してしまうケースです。
事情は個人によって様々ですが、大体は以下の3つが主要な理由です。
実際に働いてみて社風が合わない
➢ 例えば、「ワイワイ楽しく働ける環境がいい」という求職者が、実際に働いてみると、皆黙々と仕事をしている環境であったり、あるいは環境はいいのだけれども上司が合わなかったり、そういった問題で働き続けることを望まないケースです。
➢ 派遣会社としては、なかなか対処し難い問題です。というのも、社風の合う、合わないは実際に働いてみないとわからないことも多く、また個人の感じ取り方に大きく左右されるからです。派遣先企業をリサーチする時点で、表面的に見えている社風について事前に伝えるなど、細やかな配慮が必要になるでしょう。
業務が忙しい、つらい、残業が多い
➢ 意欲的にバリバリ働きたいという人であれば大丈夫ですが、ワークライフバランスを重視する求職者は、今後働いていける自信が持てず、辞退してしまうというケースです。
➢ 派遣会社としては、派遣先企業をリサーチする時に、実際に働いている社員からヒアリングを行うなどをして、より正確な労働環境の情報を求職者に前もって伝えることが効果的です。また、求職者の中にはそこまで忙しく働きたくないのにも関わらず、派遣される率を高めるためにそういった環境でも良いと派遣会社や派遣先企業に伝えてしまう一面もあります。そういった本音を引き出し、適切な企業とマッチングさせるのも、派遣会社の責務のひとつです。
給与が低い
➢ 先述のように忙しい環境でも構わないという求職者であっても、その仕事に給与が見合っていないと感じて辞退してしまうケースです。
➢ これは派遣先企業と派遣社員の間の問題なので、派遣会社としてはどうこうできる部分ではないのですが、マッチングの時点で高い給与を出してくれる企業を紹介するなどの対処方法が考えられます。
私的な事情
➢ 例えば、家庭の都合で働き続けることができなくなってしまったり、女性であれば妊娠によって一時的に働くことができなくなってしまったりなど、社風や業務内容・給与面では問題がなくとも辞退してしまうケースです。
➢ 派遣会社としては、求職者に事前に家族構成や今後の展望などを詳しくヒアリングするなどして対処する方法が考えられます。
不採用となる理由3選
以上では求職者側が辞退してしまうケースでしたが、一方で企業側が不採用とするケースも少なくありません。
事情は企業によって様々ですが、大体は以下の3つが主要な理由です。
会社の風土に合わないと判断された
➢ 経歴やスキルは合格水準ですが、コミュニケーション能力が不足していたり、会社の方針に合わない性格だったりと、主に人柄の面でのミスマッチを企業が恐れ不採用とするケースです。
➢ 求職者の経験やスキルは、派遣会社はどうすることもできませんが、コミュニケーション能力といった基礎的な部分はサポートの余地があります。成約率の向上のためにも、この点にコストをかける価値は大いにあるでしょう。
会社の求めるスキルを有していない
➢ 先述のコミュニケーション能力もここに含まれますが、面接や書類では合格水準だった経歴やスキルが実務で活かされておらず、期待外れとして不採用になるケースです。
➢ 派遣会社としては、まず求職者の経歴やスキルが活かされる職場、妥当な職場をマッチングすることが前提として必要です。加えて、面接や書類の選考の時点で、派遣先企業に正確な情報を提供することを心がけましょう。この点は派遣会社の行うべき基本的なことなので、徹底して改善する必要があります。
会社の経営の都合
➢ 俗に「派遣切り」といわれるところですが、会社の経営上の問題で人員を削減せざるを得ない場合に起こりえます。一部の優秀な派遣社員は大丈夫かもしれませんが、採用水準ギリギリの派遣社員は不採用となることが多いです。
➢ 人材サービス業は景況に左右されやすい業界であり、相手企業が不況になると直接その打撃を受けてしまいます。派遣会社としては、派遣先企業と契約を交わす前に、その会社のリサーチを徹底して行い、かつその企業の業績を向上させるべくコンサルティングを行うなどして、リスクを最小限に抑えていく努力が必要になります。
総括
派遣会社にとって求職者は「商品」であり「財産」でもありますから、求職者に対して手厚いサポートを施すことでその価値を高めることができます。
また、派遣会社は求職者と派遣先企業をよりよい形でマッチングさせることに意義がありますから、この部分にフォーカスした努力やサポートも必然的に必要になってきます。
マッチングに失敗してしまうケースのほとんどは、派遣会社の努力によって改善できるものなのではないでしょうか。
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