需要が高まるIT業界への人材紹介!その理由は・・・

2017年現在の市場の動向

2017年現在、人手不足の問題が世間を賑わせています。

出典:厚生労働省ホームページ
(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000178536.html)

上記は厚生労働省が2017年9月29日に発表した、求人、求職者及び求人倍率の推移を表したグラフです。注目すべきは青と水色の棒グラフをもとに示された有効求人倍率(季節調整値)であり、2017年7月、8月と続けて1.52倍という数値を示しています。この数値はバブル期(1.46倍)を超える高水準なっており、日本はいま超売り手市場となっていると言えます。
この様な状況が日本の労働市場に招く結果は、労働力獲得競争の激化です。
どの産業も人手が足りておらず、限られた母数の中からより優秀な人材を獲得しようと必死となっています。

そこで近年、人材紹介会社のニーズが高まっています。人材紹介会社とは、採用を行う企業に対し、条件にあった候補者(求職者)を紹介する採用支援サービスを行っている会社です。人材紹介会社の詳しい仕組みはコチラ

企業は人材獲得競争を勝ち抜く手段として、人材紹介会社のサービスを利用しています。
一方、求職者にとっても人材紹介サービスが新たな転職サービスの手段として定着してきています。


図:求職者が求職活動にあたって利用している方法まとめ

上記のグラフは2016年に厚生労働省が行った「民間人材ビジネス実態把握調査」の中の、求職者が求職活動中に利用した方法の上位6つをまとめたものです。細かく見ると、厚生労働省が運営するハローワークを利用する求職者が多いように見えますが、グラフのオレンジ色で表されている3つは、全て民間の人材会社の行っているサービスです。

図:求職者が求職活動にあたって利用している方法(30代以下)まとめ

また、30代以下だけで見ると、ハローワークを超えてweb求人サイトを利用する人が最も多いことがわかります。
この様に、人材紹介をはじめとした人材会社のサービスが求職活動中の利用媒体の上位を占めており、尚且つ若い人材ほどその傾向が高いことがわかります。これらの結果から、企業規模、業界問わず多くの企業が人材紹介を利用し、優秀な人材の獲得を行っています。

企業側からと求職者側からの双方から需要が高まっている人材紹介ですが、主にどういった市場が人手不足の影響を受けているのでしょうか。それは、新たな技術の登場により近年発展し続けているIT業界です。
本記事では“IT業界こそ最も人手不足の影響を受けている業界の1つであり、IT業界に特化した人材紹介を行うことこそ戦略的である“と提案し、その理由を解説していきます。

IT市場の動向と今後

では、IT市場への特化を提案するうえで、まずIT市場の動向について解説します。

まず初めに、IT市場におけるIT人材とはどのような人の事を指すのでしょうか。
IT人材とは、IT系の職種(プログラマー、システムエンジニア(SE)、ネットワークエンジニア、WEBデザイナ、ITコンサルタント等)で働く人を指します。
2016年6月の経済産業省の発表によると、IT市場と人材について以下の様に記されています。

経済産業省 「IT 人材の最新動向と将来推計に関する調査結果を取りまとめました」より

我が国では、産業界で大型のIT関連投資が続くことや、昨今の情報セキュリティ等に対するニーズの増大を契機に、IT人材の不足が改めて課題となっています。
また、ビッグデータ、IoT等の新しい技術やサービスの登場により、今後ますますIT利活用の高度化・多様化が進展することが予想され、中長期的にもITに対する需要は引き続き増加する可能性が高いと見込まれます。
しかし、我が国の労働人口(特に若年人口)は減少が見込まれており、今後、IT人材の獲得は現在以上に難しくなると考えられます。IT需要が拡大する一方で、国内の人材供給力が低下し、IT人材不足は今後より一層深刻化する可能性があります。

この様に、AIやIoT等の新しい技術の発展により、今後の活躍が期待されるIT市場ですが、その発展にあたって十分な人材確保が見込めない事が記されています。

以下はIT人材の需要の推移を表した図です。

図:人材の需給に関する推計結果の概要
出典:経済産業省
http://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160610002/20160610002.html
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この図によると、マクロな規模でのIT人材(IT企業及びユーザ企業情報システム部門に所属する人材)は、現在(2016年)は約92万人おり、不足数は約17万人となっております。(図:上段)
今後2019年をピークに人材供給は減少傾向となり、より一層不足数の拡大が予想され、IT市場が高位で成長した場合、更にこれが2020年には約37万人、2030年には役79万人まで不足数が拡大すると予測されています。 将来“必要な数の半分ほどしかIT人材がいない”という未来が訪れるかもしれないのです。
情報セキュリティ人材は、現在は約28万人、不足数は約13万人となっていますが、2020年には不足数が20万人弱に拡大すると予測されています。 (図:中段)
先端IT人材は、現在は約9.7万人、不足数は約1.5万人となっていますが、2020年には不足数が4.8万人に拡大すると予測されています。(図:下段)

※高位で成長した場合:経済産業省が2016年現在のIT関連産業の年代別の従事者数や今後の日本の人口動態予測に基づいて構築したマクロモデルによる将来推測の結果通りに成長した場合を指します。

※先端IT人材:AI、IoT、ビッグデータ等の先端技術に携わる人材を指します。

以上より、将来を見据えた時、IT人材の育成、IT人材に特化した人材紹介といったものへの需要が更に高まっていくことがわかります。

では2017年現在、既存のIT人材に特化した人材紹介会社は、実際にどのような育成支援、サービスを行っているのでしょうか。その一例を紹介していきます。

人材紹介会社が行っているIT人材育成、資格取得支援一例

本章では、IT人材を育成するサービスについて紹介します。

まず初めに、資格取得の必要性ですが、IT系の資格の中で取得していれば、弁護士、会計士などのように業務を独占できる、または取得していなければ職務に就けないといった資格はありません。
しかし、資格の取得が就職の際に有効に働くことは間違いありません。そのため、資格の取得を支援するサービスを行う人材紹介会社があります。また、資格の取得だけでなく育成支援まで行っている紹介会社もいくつかあります。それでは、そのような育成支援、資格取得支援サービスの一例を紹介していきます。

これらが、実際に紹介会社が行っている育成サービス一例です。
IT系の職種は「初めての人は手を出しにくい」「レベルが高そうで心配」といった悩みが付きものです。ですが、その様な悩みを払拭する、 経験のない人を1から育成するサービスが登場しはじめています。これらのサービス登場により、今までIT系の職種は限られた人材しかターゲットにすることができない敷居が高い職種でしたが、 ITに興味さえあれば全ての人材をターゲットにすることが可能となりました。
しかし“求職者を育成してから紹介する”というビジネスモデルは、まだあまり確立されていないのが事実です。なぜなら、実際に育成支援を行う際のコストの問題などがあるため、 企業に体力が必要となります。ですので、 多くの場合は就業先の資格取得制度に依存しているのが現状のようです。
ですが、IT人材不足が予測される2017年現在、この様なサービスは今後さらに増えてくるかもしれません。

では、仮に資格取得支援サービスを行うと仮定した際、具体的にどの様なIT系の資格があるのか、以下にまとめていきます。

まず、IT系の資格を大きくわけると“国家資格”と“ベンダー資格”の2つに分けられます。

国家資格・・・
製品に特化した問題ではなく、IT全般における基礎知識を問う資格です。
すぐに実務で実践できるわけではありませんが、マニュアルにない問題が発生した時の 問題解決力や応用力が身につきます。

ベンダー資格・・・
実務にすぐ実践でき、現場で活きる資格はこちらです。
有効期限があるのが難点ですが、 資格を維持することが“日々進化するIT技術の 対応力にも繋がる”と言えます。

ではこの2つの資格には一般的にどんなものがあるのか、知名度の高いものを抜粋し簡潔に解説します。

国家資格一例

■ 基本情報処理技術者
IT系職種で働く方なら誰もが持っておきたい、登竜門的な資格です。
システム開発を行う上で基本的な知識レベルを問う資格で、情報技術全般の基本的知識・技能を総合的に身につける事ができます。
2017年春期受験者数:48,875人(合格率22.5%)
受験料:5100円
■ 応用情報技術者
基本情報処理技術者のワンランク上の資格で、より高度で応用的知識・技能を身につける事が出来ます。
2017年春期受験者数:31,932人(合格率20.2%)
受験料:5100円
■ ネットワークスペシャリスト、データベーススペシャリスト
それぞれネットワーク、データベースに関する固有技術の専門家として、情報システムの企画から要件定義、開発、運用・保守といった上流から下流工程までの脳力を認定される資格です。
ネットワーク・・・2016年受験者数:11,946名(合格率15.4%)
データベース・・・2016年受験者数:9,238人(合格率17.5%)
受験料:どちらも5100円
■ プロジェクトマネージャ
システム開発のプロジェクトにおける責任者として、運営、管理を相互的に監修する能力を認定される資格です。この資格の保持者には給与面で優遇する企業も多くあります。
2017年受験者数:11,596人(13.1%)
受験料:5100円

ベンダー資格一例

■ オラクルマスター
日本オラクルがオラクル製品に関する技術者を認定する制度で、情報処理のベンダー資格の中では比較的ポピュラーで知名度が高い資格です。
受験者数:非公開
受験料:Bronze、Silver、Gold・・・15,750円
Platinum・・・231,000円
■ MCP(マイクロソフト認定プロフェッショナル)
マイクロソフト製品における実務能力、幅広い知識を認定する世界共通資格です。
受験者数:非公開
受験料: 19,000円(学生:11,500円)
■ シスコ技術者認定
シスコシステムズ製品に関するIT分野の評価と最先端の技術を身につけた証明となる資格です。
受験者数:非公開
受験料: 16000円から(コースによって異なります。)
まだIT系の資格はたくさんありますが、上記のような資格が一般的なものとなっているようです。

IT市場特化型人材紹介会社が行っているサービス一例

次に、実際にIT市場に特化した人材紹介会社が実際に行っているサービスの一例をまとめました。大まかに分類すると以下の4種類にわけられます。

このような特徴的なサービスが実際に行われているようです。
どの会社も“この分野では自社が1番”となるような強みを見つけ、そこに特化したビジネスモデルを確立しているのがよくわかります。
また、IT系の職種は手に職がつくので、 正社員としてではなくフリーランスとしてフレキシブルに働きたい人がいるのも特徴の1つです。そのため、その様な人材へ向けたサービスに特化する戦略を取っている会社があるのが他業界には無いIT業界特化型ならではの特徴のようです。

まとめ

労働力の獲得競争が激化し、人材紹介の需要が高まっています。
人材紹介ビジネスを行う際に重要なのは、自社オリジナルのビジネスモデルを確立する事です。数ある人材紹介会社と差別化を図るため、扱う人材や業界を絞ることで、他社に負けない強みを見つけることが必須となってきます。

そこで提案したいのがIT市場への特化です。2030年、高位で成長した際には78.9万人の人手不足が予測されているのがこの市場です。つまり、この先更にIT市場では人材獲得の需要が高まることが予測されるため、この市場に特化して戦っていくことは非常に有効な戦略であると言うことができます。
経験のない人を育てるサービスも徐々に表れており、今後さらにIT人材を育成、確保する動きは大きくなると思われます。
是非将来を見据え、人材紹介におけるIT市場への参入、強化を検討してみてはいかがでしょうか。
また、人材募集力の強化・採用力アップなど、人材紹介・人材派遣会社の業績アップを目的とした会員制の勉強会 「人材ビジネス経営研究会」を開催しています。初回は無料でご参加頂けます。是非、ご参加ください。

参考サイト
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000178536.html
http://www.meti.go.jp/press/2016/06/20160610002/20160610002.html

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