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株式会社船井総合研究所(船井総研)ワークエンゲージメント支援部セキュリティー・メンテナンスグループです。
こちらはビルメンテナンス業を展開する中小企業の経営者・幹部・人事担当者様向けの記事です。
今後のビルメンテナンス業界の展望や、2025年に向けて取り組むべきポイントを解説したコラムです。
人材不足や賃金上昇といった課題への対策、DX戦略、採用マーケティングなど、成功事例も交えながらわかりやすく解説しています。 ぜひ、貴社の経営戦略にお役立てください。
1. ビルメンテナンス業界の現状:データで紐解く市場規模と成長要因
市場規模は4兆円を超え、コロナ禍でも安定成長を続けるビルメンテナンス市場ですが、その内情を詳しく見ていきましょう。
公益社団法人全国ビルメンテナンス協会の調査によると、2023年の市場規模は4兆4212億円に達しています。
これはコロナ禍の影響を受けた時期もありましたが、新規案件の稼働やビル管理関連の改修工事の増加により、回復基調が鮮明となっています。
コロナ禍による一時的な停滞はあったものの、ビルメンテナンス業界は安定的な成長を維持しています。
直近ではコロナ禍で先送りされていた新規案件の稼働や、ビル管理関連の改修工事等の受注が市場拡大の要因となっています。
地域別の売上高成長率を見ると、地方で成長の兆しが見られます。
特に四国地方は著しい伸びを見せており、各地域での成長率向上は今後の業界全体の成長を牽引する可能性を秘めています。
しかし、ビルメンテナンス業界は深刻な人材不足に直面しています。
全国ビルメンテナンス協会の調査では、回答企業の9割以上が「現場従業員が集まりにくい」という悩みを抱えていることが明らかになりました。 この人材不足は、業界全体の成長を阻害する大きな要因となる可能性があります。
人手不足の影響は平均賃金にも表れており、2022年から2023年にかけては約105%上昇しています。
政府は最低賃金を2020年代までに全国加重平均で1,500円に引き上げる方針を掲げており、今後も賃金上昇は更に加速する見込みです。
特に、東京では一般清掃・警備のパート・アルバイトの時給水準が1,200円を超える水準となっており、地方との賃金格差が拡大する可能性もあります。
契約改定率はコロナ禍以降上昇を続けていますが、賃金上昇幅と比較すると小幅にとどまっています。
2023年度の契約改定率は官公庁が1.8%、民間が2.1%にとどまっており、賃金・物価・エネルギー高騰分を十分に価格転嫁できているとは言えない状況です。
2. 2025年、ビルメンテナンス業界に迫る危機:人材不足と業績悪化の影
2025年、ビルメンテナンス業界は更なる人材不足の深刻化に直面すると予想されます。
少子高齢化の進展や、他業界との人材獲得競争の激化により、現場従業員の確保はますます困難になるでしょう。
人材不足は人件費の高騰を招き、企業の業績を圧迫する要因となります。 賃金上昇分を契約料金に転嫁できない場合、利益率の低下は避けられません。
また、人材不足は従業員一人当たりの負担増加にもつながり、労働環境の悪化や離職率の上昇を招く可能性も孕んでいます。
人材不足が深刻化すると、赤字現場が増加し、現場からの撤退を余儀なくされるケースも増加すると予想されます。
特に、中小企業では人材確保が難航し、事業の継続すら危ぶまれる事態に陥る可能性も否定できません。
3. 2025年、ビルメンテナンス業界の未来を切り拓く戦略:成長への道筋
2025年に向けて、ビルメンテナンス業界は人材不足という大きな課題を克服し、持続的な成長を実現するための戦略を策定する必要があります。以下に、具体的な戦略を3つ提示します。
1.DX戦略の推進
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、業務効率化による人材不足解消の切り札として期待されています。
従来人手に頼っていた業務をデジタル化することで、少ない人員でより多くの業務をこなせるようになり、生産性の向上に繋がります。
例えば、清掃ロボットの導入や、点検業務のIoT化などが挙げられます。
これらの技術を導入することで、人材不足を補いながら、サービスの質向上も実現することが可能になります。
また、DXの推進は、従業員の負担軽減にもつながります。
単純作業を自動化することで、従業員はより高度な業務に集中できるようになり、働きがいのある職場環境を構築することができます。
2.攻めの採用戦略
人材不足を解消するためには、従来の受動的な採用活動から脱却し、積極的に優秀な人材を獲得するための戦略が必要です。 特に、若年層や女性、外国人など、多様な人材層にアプローチする必要があります。
具体的には、自社の魅力を効果的に伝えるための採用ブランディングや、求職者との接点を増やすための採用マーケティングなどが重要となります。
また、従業員紹介制度の導入や、インターンシップの実施など、様々な方法を組み合わせることで、より効果的に人材を獲得することができます。
さらに、働き方改革を推進し、ワークライフバランスを重視した働きやすい職場環境を整備することも、優秀な人材を獲得するために重要です。
3.採用マーケティング
採用マーケティングとは、マーケティングの手法を応用して、自社に合った人材を獲得するための戦略です。
ターゲットとなる求職者を明確化し、その求職者に対して効果的な情報発信を行うことで、応募数の増加を目指します。
具体的には、自社の求める人物像(ペルソナ)を設定し、そのペルソナが利用するメディアや情報収集方法を分析します。
そして、その分析結果に基づいて、求人広告の出稿先や、求人情報の内容などを決定していきます。
採用マーケティングを効果的に活用することで、より効率的に、自社に合った人材を獲得することが可能になります。
4. 採用成功の秘訣:勝ち組企業の戦略を徹底解剖
厳しい人材獲得競争を勝ち抜くためには、従来の採用活動を見直し、より戦略的な取り組みが必要です。ここでは、採用成功の秘訣を5つご紹介いたします。
1. ペルソナ設定で採用効率UP!自社に最適な人材像を明確化
自社にとって本当に必要な人材を獲得するためには、まず「ペルソナ」を設定することが重要です。
ペルソナとは、自社が求める理想的な人物像を具体的に描いたものです。
ペルソナを設定することで、採用活動の軸がぶれなくなり、効果的な求人活動を行うことができます。年齢、性別、経験、スキル、価値観、ライフスタイルなど、詳細な情報を盛り込むことで、より具体的で効果的なペルソナ像を構築することができます。
例えば、「30代の男性で、5年以上ビルメンテナンス業界での経験があり、顧客対応能力が高く、チームワークを重視する人材」といったように、具体的な人物像を描きます。このペルソナ像を基に、求める人物像に響くような求人広告を作成したり、適切な採用チャネルを選定したりすることができます。
2.求職者の心を掴む!転職理由や求める条件を徹底分析
求職者が転職を考える理由は様々です。 より高い給与を求めている人、キャリアアップを目指している人、ワークライフバランスを重視している人など、その背景は多岐に渡ります。
そのため、闇雲に求人情報を発信するのではなく、ターゲットとする求職者の転職理由や求める条件を徹底的に分析することが重要です。
どのような仕事内容や待遇を提示すれば、求職者の心を動かすことができるのかを考える必要があります。
例えば、アンケート調査やヒアリングなどを通して、求職者が転職先に求める条件を具体的に把握します。
そして、その情報に基づいて、求人情報の内容や働き方などを改善していくことで、応募者の増加に繋げることができます。
3.求人媒体を賢く活用!費用対効果の高い集客戦略
数多くの求人媒体が存在しますが、それぞれの特徴や費用対効果が異なります。
自社の求める人物像や採用予算に合わせて、最適な媒体を選定することが重要です。
例えば、若年層をターゲットにする場合は、SNSや求人情報サイトを活用するのが効果的です。
また、経験豊富な人材を求める場合は、転職エージェントやヘッドハンティングサービスなどを利用するのも良いでしょう。
それぞれの媒体の特徴を理解し、自社の採用戦略に合った媒体を組み合わせることで、費用対効果の高い集客を実現することができます。
4.現場スタッフ採用は求人特化型検索エンジンが効果的!その理由とは
現場スタッフの採用においては、求人特化型検索エンジンが有効な手段となります。
求人特化型検索エンジンは、求職者が希望する職種や勤務地などの条件を入力して検索することで、最適な求人情報を探すことができるサービスです。
利用者数が多く、他の媒体よりも安価で応募者を獲得できるというメリットがあります。
また、多くの求職者が利用しているため、幅広い層にアプローチすることができます。
さらに、求人特化型検索エンジンでは、自社の魅力を効果的に伝えるための詳細な情報掲載が可能です。
写真や動画などを活用することで、より多くの求職者の目に止まりやすくなるでしょう。
5.応募単価3,321円を実現!神奈川県T社の採用成功事例
神奈川県にあるT社は、従来の掲載課金型Web媒体から、クリック課金型Web媒体中心の採用戦略に切り替えることで、大幅な応募単価の削減と採用数の増加を実現しました。
具体的には、ペルソナ別の求人作成や媒体別UIに対応したリライトなど、求人原稿に徹底的にこだわったことが成功の要因です。 その結果、月25万円の予算で74名もの応募を獲得することに成功しました。
この事例は、採用戦略を見直し、効果的な方法を導入することで、人材不足の解消に繋がることを示しています。
5. 船井総研による伴走型支援:業界の未来を共に創造
船井総研は、ビルメンテナンス業界の企業様に対して、様々なサポートを提供しています。 具体的には、以下の2つのサービスをご紹介します。
1.採用戦略に悩んだら相談を! 無料個別相談会で課題解決
船井総研では、ビルメンテナンス企業の経営者様向けに、無料個別相談会を実施しています。
採用戦略やペルソナ設計、ペルソナ像に適した媒体の選定方法など、専門のコンサルタントが貴社の課題に合わせてアドバイスを提供いたします。採用に関する悩みや課題を解決するために、ぜひお気軽にご相談ください。
2.最新情報と業界交流で成長を加速!経営者向け会員制勉強会「警備・ビルメンテナンス研究会」
船井総研が主催する、ビルメンテナンス事業者向けの会員制・継続性勉強会「警備・ビルメンテナンス研究会」では、業界の最新情報を定期的にインプットできるほか、同業の経営者やコンサルタントとのディスカッションやアドバイスにより、短期間で確実に業績アップを目指すことができます。
また、研究会は師と友づくりの場としてご活用いただけます。 業界の動向や成功事例を共有することで、新たな気づきを得ることや、自社の課題解決のヒントを見つけることができるでしょう。
6. 結論・まとめ
ビルメンテナンス業界は、安定的な市場規模を誇る一方、人材不足という大きな課題に直面しています。
しかし、2025年に向けて、DX戦略の推進や、積極的な採用戦略、採用マーケティングなど、様々な戦略を講じることで、この課題を克服し、更なる成長を遂げることが可能となります。
船井総研は、ビルメンテナンス業界の企業様の成長を支援するために、様々なサービスを提供しています。
ぜひ、これらのサービスを活用し、未来を切り拓いていきましょう。