【日本と中国との現状比較】企業の人手不足・人材不足の実態とは?

コロナ禍による影響で、一時的に雇用過剰となっている企業もありますが、経済回復期の雇用刺激策においてはさらに人手不足が加速すると予想されています。
本記事では、日本と中国の人手不足の実態に焦点を当て、現状・原因から、企業が行うべき対策まで詳しく解説します。

 

1.人手不足の現状について

日本では、2019年に「人手不足」関連の倒産件数は過去最高の426件(2018年は387件)で、「後継者難」「求人難」などの問題が目立っています。産業別から見ると、「サービス業」が128件と最も多く、次いで「建設業」が77件、「卸売業」が52件となっています
※出所:東京商工リサーチ 「2019年人手不足関連倒産」
 
また、厚生労働省の有効求人倍率のデータから見ると、「運送・流通業」、「医療・介護福祉業」「IT業」でも人手不足が進んでいます。原因については、業界自体の規模・需要の拡大と業務に必要な専門的知識と技術を持つ人材自体が不足していると考えられます。
 
中国の職業センターの調査によると、2020年第1四半期では、特に人手不足が深刻化しているのは製造業関連とサービス業関連の職種です。また、EC市場の拡大に伴う宅配・配送の業務が急拡大している中、物流業でも人手不足の苦境に陥っています。

 

2.人手不足の原因とは?

日本でも中国でも、人手不足に共通する原因は、少子高齢化による労働人口の減少と産業構造の変化です。経済の発展に伴い、産業の中心は第二次産業(工業)から第三次産業(サービス業)へ移っています。これを反映して、製造業の就業者数は減少傾向になる一方で、医療・福祉や宿泊・飲食サービス業の就業者数が大きく増加しています。なお、世の中では若者は金融・情報などのホワイトカラーの仕事を求め、製造業・建設業などのブルーカラーの仕事は敬遠される傾向が高まります。
 
また、求職者と企業の間のミスマッチにも原因があります。能力需給不一致や情報の不透明性などいろんな理由がありますが、この中で目立つのは、職種間のミスマッチと地域間のミスマッチです。例えば、中国の保安職の求人求職倍率は二三線都市では驚くほど高い数値に対し一線都市ではわずか10分の1の数値となります。
 
そして、それぞれの国情による背景もあります。
 
厚生労働省の調査によると、2019年10月末時点における外国人労働者数は、約166万人と前年比+13.6%で過去最高を記録しました。
 
【出所】厚生労働省 「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)」
 
日本の製造業や農業は毎年人手が不足している業種ではあるため、毎年ベトナムや中国などアジアの国々を中心とした外国人の受け入れを拡大し、外国人労働者への依存度が非常に高いです。しかし、コロナの感染拡大により、海外との往来は制限され、外国人労働者が入国できないことで工場や農業の現場では、人手不足が深刻化しています。
 
中国で人手不足が起きる原因の一つは「戸籍制度」です。日本の戸籍制度(自由に本籍地を変える)とは違い、中国の戸籍制度(戸口)では農業戸籍と非農業(都市)戸籍という区別があります。その区別により、教育から住宅、年金制度まで、生活に関わりの深い制度について、権利の格差が生じています。なお、農業戸籍から非農業戸籍への転換は容易ではないため、農業戸籍しか持っていない人は、就職先を見つけても、都市の「暫住」資格しか得られない。都市の戸籍を持っていないがゆえに、雇用の機会と社会福祉の恩恵が大きく制限されているため、農業から工業やサービス業への労働力の移転が十分に進まず、産業構造の転換の妨げになっています。

 

3.人手・人材不足の対策

(1) 国の対応

日本内閣では、毎年6月頃に経済財政に関する「骨太の方針」を発表し、これまでの人手不足対策として、働き方改革(2017)、外国人労働者の受け入れ拡大(2018)などの政策を掲げました。2019年の方針で、①高齢者・中途採用の促進、②介護人材の処遇改善、③働き方改革の推進、④就職氷河期世代支援プログラムなど国内人材確保のための取組に重点が置かれました。
 
中国政府は「農業移転人口の市民化」をキーワードとしての政策目標を示し、農村部の余剰労働力をより生産性の高い工業・サービス業へ移行するため、大都市戸籍の取得においての緩和策が発表されました。また、製造現場の人手不足と人件費上昇を解決するために「中国製造2025」という国家戦略を掲げ、IoT化や業務・工程自動化に大きな力を注いでいます。繰り返し作業、重労働・危険作業などの作業に関し、ロボットや IoT、AI などの先進ツールの活用を通じた自動化による省人化で人手不足を解消します。
 

(2) 企業の対応

企業における人材不足解消の鍵は、生産性の向上です。そのために徹底的な業務の改善(ITやAIの活用など)を進める必要があります。その上で会社としてより良い職場環境を作るため、「待遇・採用方法の改善」、そして「多様な人材の活用」も大事なポイントです。具体的には、
 

テレワークの導入

多様な働き方ができる環境が人材確保の重要なポイントです。組織にテレワークを導入することで、従業員の自由かつ柔軟な働き方が可能になるため、業務の効率化や生産性向上が見込めます。在宅勤務やモバイルワークが可能であれば、育児中や介護中などの様々な事情がある人や、遠隔地の優秀な人材の採用も可能になり、採用の間口も広くなります。
 
また、中小企業が初期投資を抑えながらテレワークを導入できるようにと、国や自治体がさまざまな助成金・補助金制度や支援体制を設けています。助成金を活用しながら、テレワーク環境の整備に取り組みましょう。
 

ダイレクトリクルーティング

自社の明確な情報発信が、雇用のミスマッチを防ぐ上で一番重要なポイントです。そこで、従来の待ちの採用手法ではなく、攻めの採用手法である「ダイレクトリクルーティング」を使い、企業自ら求める人材を積極的に探し直接アプローチしましょう。
 
ダイレクトリクルーティングでは、スカウト型のサイトやソーシャルメディアを介して、候補者が企業に期待するものに沿って、魅力の伝え方が出来る点も大きなメリットとなります。また、ソーシャルメディアを介し繋がっておけば、自社の企業文化・社風が伝わる日々の出来事などを定期的に発信・拡散できるので、企業と候補者の間で継続的なコミュニケーションが実現できます。
 

社外人材リソースを活用する

人手不足の会社や人材のミスマッチに悩んでいる会社の中には、契約社員や派遣社員などの外部人材を活用する企業も多くあります。特に社内において特定分野の専門性(テレワークの導入など)や人材が不足している場合は、プロジェクトに応じて必要なスキルを持つ外部人材の活用が主流になっています。こうした雇用形態にこだわらず、必要な時に即戦力を得られるので、人手不足の解消と人件費が削減されるだけでなく、業務の効率や生産性の向上にもつながります。
 

4.最後に

人手不足の課題をどう乗り越えていくかが今後の成長のカギになります。しかし、人手不足は一朝一夕に解決する問題ではなく、時間をかけて中長期的に解消していくことが必要です。人材不足解消に関しては、人材ビジネスのプロに頼るのも一つの方法です。
 
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参考サイト
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/03Hakusyo_part1_chap3_web.pdf
経済産業省 中小企業庁 「中小企業の雇用環境と人手不足の現状」
https://www.mhlw.go.jp/content/11655000/000590310.pdf
厚生労働省 「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和元年10月末現在)」
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2019/2019_basicpolicies_ja.pdf
内閣府 「経済財政運営と改革の基本方針 2019 について」

 

 

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