【中国の人材派遣業】最新の業界市場動向を徹底解説!

新型コロナウイルス感染抑制のための経済封鎖から外出制限の解除や経済活動の再開に踏み切った中国。コロナショックで人材派遣市場に何か起こるか?本記事では、中国の人材派遣業界の最新動向と戦略を詳しく解説します!

 

1.コロナショックにおける中国人材業界の現状

中国経済は、新型コロナ感染拡大に伴う経済活動の停滞により、2020年1~3月期の実質GDP成長率が前年比▲6.8%と大きな打撃を受けました。2020年4月に中国人民大学と中国最大手の人材会社「智聯招聘」と共に「2020年第1四半期中国就業市場景気報告」を発表しました。経済活動の大幅な縮小により、1~3月の就職市場景気指数(CIER指数=市場招聘求人数/市場求職申請人数、日本の有効求人倍率に近い)は1.43ポイントで、3月は近5年最低の1.02ポイントとなりました。

【出所】中国人民大学就業研究所&智聯招聘「2020年第1四半期中国就業市場景気報告」

業種別から見ると、1位は「教育業界」で、2番目に「仲介サービス業」 、「保険業」、「レジャー業界」、「専門サービス・コンサルティング(法律・会計・人材ビジネスなど)」と続いています。飲食店やレジャー施設の休業に加え、学校や塾が休校となる中、オンライン教育のニーズが高まっています。また、2位の仲介サービス業は昨年の好調を続いておりますが、企業求人数の増幅は申請人数より少ないため、指数がやや下がっています。

ランキング 就職景気が良い業界 2019Q1 2020Q1 数値変化
教育業界 4.45 4.76 +0.31
2 仲介サービス業 4.76 4.74 -0.02
3 保険業 3.84 3.74 -0.10
4 レジャー業界 1.04 3.13 +2.09
5 専門サービス・コンサルティング 2.16 2.68 +0.52
6 インターネット業界 3.08 2.66 -0.42
7 外注業 1.92 2.54 +0.62
8 電子技術・半導体業界 1.64 2.09 +0.45
9 建設業界 2.77 2.09 -0.68
10 ホテル・飲食業界 2.07 2.00 -0.07

【出所】中国人民大学就業研究所&智聯招聘「2020年第1四半期中国就業市場景気報告」
仲介サービス業は、企業と消費者のニーズに応じて広告代理や人材紹介、不動産仲介を行う事業です。

2.日本人材業界への影響

中国経済活動の停滞はあらゆる面で日本の労働市場に大きな影響をもたらすことになりました。日本財務省が発表した5月の貿易統計速報によると、輸入額は26.2%減の5兆182億円で、中国からの輸入は2%減になりました。国や都市の封鎖により原材料や部品のサプライチェーンが寸断され、通信・電子や自動車、鉄鋼など部品・素材の落ち込みが大きいです。それによる多くの事業者は業績不振に陥り、派遣社員ら非正規労働者が解雇や雇い止めをされるケースが出ています。その中深刻な影響を受けた産業は以下の2つです。

一つ目はサプライチェーンの中断と輸出の減少を背景に、生産に支障をきたす製造業です。派遣労働者が最も多い製造業と情報通信業では中間部品の生産拠点が中国に集中し、中国からの部品輸入が途絶えたメーカーは生産停止に追い込まれたため、製造業は新規雇用を抑えています。

二つ目は中国人観光客が減少することによる求人を無期限停止するインバウンド産業です。去年日本を訪れた中国人旅行客は外国人旅行客全体の3分の1近くを占めていました。国境封鎖によるインバウンド(訪日客)需要の急減で宿泊、観光、飲食、交通関連や百貨店が打撃を受け、倒産や解雇も目立っています。これらの業界からは人材が数多く転職市場に出てきていると予想されます。

3.人材派遣業界の最新動向をご紹介!

コロナ禍で広がる雇用不安のなか、中国の人材派遣業界は以下2つの取り組みを行っています。

(1) 従業員シェアリング

中国が取った厳しい外出自粛政策により、飲食店、映画館などのサービス業に従事する人の多くが自宅待機となっていた一方、外出制限によってネットショッピングやフードデリバリーの需要は急増し、需要量に対して対応出来ないケースも多く、従業員への負荷も増大しております。こんな苦境の中、アリババグループの生鮮スーパー盒馬鮮生は休業している従業員を一時的に受け入れ、自社の配達員の不足を補う、いわゆる「従業員シェアリング」という仕組に踏み切りました。盒馬鮮生等の民間企業の動きを受け、李克強総理は「従業員シェアプラットフォームの発展を支援する」と発言し、従業員シェアリング専用プラットフォームをリリースされ、3月末の時点で約3万以上の求職者にサービスを提供しています。

当初は非常事態期間中の人手余りと人手不足の企業間マッチングを目的に始まった従業員シェアリングだが、新型コロナウイルスとの戦いが長期化を呈するなか、従業員シェアリングは休業者の受け皿だけではなく、繁忙期と閑散期の差が大きな業種にとって、時期に合わせて労働力を再配分できる新しい人材サービスとして広く活用されるだろう。

(2) OMOプラットフォームで人材募集

新型コロナウイルスによる危機を経て、より多くの人材派遣会社は「OMO型」採用プラットフォームの使用を始めている。OMOとは「Online Merges with Offline」の略称で、「オンラインとオフラインの融合を前提としたの戦略」や、「オンラインを軸にして、これまで分断されたオフラインを融合すること」などを指すビジネスモデルとなっています。

中国では、ブルーカラー向けのOMO型採用プラットフォームを提供しています。ブルーカラー職種の特徴は短期間での一括採用で、派遣情報や人員状況のリアルタイム更新、即時対応は非常に重要です。そのプラットフォームは求職者に対し、企業側がオンラインとオフラインを融合・駆使することで、以下のようなことが実現されます。

 ビジネスのオンラインコラボレーション
・人材派遣会社、仲介業者、候補者間のオンラインコラボレーションを実現する。
・派遣社員の状況を即時に更新し、通信コストを削減します。
 即時性の高い情報収集
・移動端末(国認証の身分証明モジュールが埋め込まれている)での個人識別、平均読み取り時間 <1秒。
・認証コストを削減し、情報入力の精度を向上させます。
 データのリアルタイム分析
・データをリアルタイムに分析し、採用プロセスと結果を多角的かつ定量的に分析する。
・分析グラフが自動的に更新され、運用コストを削減し、結果の精度が上がります。

OMO型求人プラットフォームの活用により、求職者に対してオンライン・オフラインとあらゆるメディアでの接点をつくり、人が高頻度で集まり、データが集まります。未だに新型コロナウイルスに油断ができない中、ポストコロナ時代はOMOの重要性がより一層増しているように思います。

 

4.ポストコロナに向け取るべく戦略とは?

(1)新業態に注目
5月22日に開催された中国全人代では、「製造業の高度化と新興産業の発展を推し進め、製造業向けの中長期融資を大幅に増やす」という方針が発表され、国からEコマース、オンラインサービス等の新業態を全面的に推進し、デジタル経済の新たな優位性を作り上げました。

ここに皆様に注目したいのは「新型インフラ」、つまり5G、AI、ビッグデータ、モノのインターネット(IoT)を代表するハイテク分野です。政府は「2025年まで、中国の5Gネットワーク建設投資は累計1兆2千億元、経済効果が10兆6千億元に達する」と宣言され、国からの巨大な投資とニーズをつなぎ一方、デジタル経済をはじめ雇用創出につながる新しい雇用の拡充が可能であるため、人材派遣会社の活躍が期待されます。

(2)一線都市のみならず、二、三線都市の労働市場を狙い
感染拡大防止措置の影響でオンラインサービスの新ビジネスが続々と誕生し、今後「逆都市化」が進むかもしれません。また、中国政府の「一帯一路」政策により、多くの二線都市が優秀な人材の誘致政策を次々に打ち出し、経済は現在急速に発展しています。中心都市とメガロポリス(都市群)の総合的な牽引作用を発揮させ、雇用吸収力や競争力のある産業を育成していくとともに、新たな雇用を生み出すだろう。

 

5.最後に

先行きの不透明さから感染拡大が終息しても、多くの企業は人材の補充に踏み切ることに躊躇する懸念も生じかねません。こんな時期だからこそ新たなビジネスを考える良い機会にするべきではないだろうか。中国人材業界の取り組みが経営者方々のご参考になれば幸いです

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参考サイト
https://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st/gaiyo2020_05.pdf
財務省 「令和2年5月分貿易統計(速報)」
https://www.nri.com/jp/keyword/proposal/20200416
NRI 「中国の新型コロナ対応で生まれた従業員シェアリングの試み」
https://www.ide.go.jp/Japanese/Researchers/tanaka_osamu/China_report/2020/20200611.html
日本貿易振興機構 「2020年政府活動報告」

 

 

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