【人材紹介会社の最新「営業」戦略】主導権を握れるリクルーティングアドバイザー(RA)の効果的な営業手法とは?

 
人材紹介業の法人営業を担うリクルーティングアドバイザー(RA)が果たす役割は最近ますます重要になってきています。今回はRAの法人営業手法について、KPIの考え方と改善方法を、船井総研人材ビジネス支援部が下記より徹底解説しています!リクルーティングアドバイザーの効率的な営業手法を知りたい方、新規人材採用を実施して戦力化させようとお考えの方はぜひご覧くださいませ。
 
 

 

1.人材紹介業界の動向

近年急速に市場を拡大してきた人材紹介業界ですが、競合の増加や2020年1月頃からの新型コロナウイルス感染拡大の影響により、業界の潮目が変わろうとしています。そんな中、求人案件開拓の営業担当であるリクルーティングアドバイザー(RA)の重要性が増してきています。今回はなぜ今、RAが重要性を増しているのか、法人営業の成功率を上げるためにはどうすればいいのかを徹底解説します。
RAの重要性が増してきた背景をご説明するために、まずは有効求人倍率の推移を分析していきます。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」
※グラフは船井総研で作成

 
有効求人倍率は求人数を求職者数で割った値のことで、雇用状況を知るための数値であり、人材紹介業界の景気を表す重要な指標です。そんな有効求人倍率はここ数年、稀に見る高水準で推移していましたが、2020年1月以降、新型コロナウイルス感染拡大による経済収縮の影響で急激に下落しています。3月の倍率は1,39倍、4月は1.32倍となりましたが、有効求人倍率が1.4倍を割るのは実に三年半ぶりのことです。
有効求人倍率を見た限り、人材紹介業界を取り巻く状況は悪化しているようですが、具体的な対策を練るためにはもう少し細かく数字を見ていく必要があります。前述したように、「有効求人倍率=求人数÷求職者数」なので、当然ですが有効求人倍率が下がるときは求人数が減る、もしくは求職者数が増えるといったことが起きています。今回のコロナで求人倍率が下がった理由を「求人数の減少なのか求職者の増加なのか」という切り口で見ていきましょう。

出典:厚生労働省「一般職業紹介状況」
※グラフは船井総研で作成

上のグラフを見ると、求人数は1月から減少傾向にあり、求職者は比較的落ち着いたペースで微減傾向にあることが分かります。つまり、今回の有効求人倍率の減少は求人数が減ったことによるものだと言えます。
今後、コロナ不況の影響で企業による人員削減などが行われれば、求職者が増加することすら考えられます。そうなったとき、人材紹介会社は「求職者からの応募は取れるが、求人案件数が伸びない」という状態に陥ることが予想されます。
そうならないためにも、今のうちからリクルーティングアドバイザー(RA)による法人営業の戦略を見直して、強力な営業体制を作ることが重要です。

 

2.法人営業効率化に向けたKPIの設定

法人営業を強化するには、成約までのプロセスを分解して、業務プロセスごとに適切なKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を設定することが非常に重要です。
 
営業目標を達成するための重要な指標をKPIとして設定し、各KPIを改善することで、目標を達成することができます。
 
KPIを設定するためには業務プロセスを分解していく必要がありますが、一般的にRAが案件獲得に至るまでのプロセスは大きく二つのステップ、テレアポの獲得と訪問営業に分けられます。

 

 
※人材紹介業の法人営業における「成約」は、「求人案件の掲載許可獲得」を指します。
 
そしてさらに細かく、それぞれのステップを構成要素に分解すると、以下の式のようになります。ここまで細かく分解してようやく、数ある営業関係の数字の中でどの数字を改善すれば最終的な案件数に繋がるのかがわかってきます。下の式で言うと、オレンジ色の部分がKPIとなり、これらの数値に注目して、日々改善していけば理論上、最終的な成約数を最大化することができます。
 

 

3.法人営業のKPI改善のための施策

最後に、なかなか改善が難しいと思われがちなアポイント獲得率と法人訪問の際の案件獲得率の改善に有効な施策をお伝えします。
 
テレアポに関してご紹介する施策は以下の三つです。
 
・席を外していると言われたら、戻り時間を抑える
・事前にFAXやメールで資料を送付しておくと取次がスムーズになる
・まずは会うことが目的なので、細かい条件などは話しすぎない
 
テレアポで電話を掛けた際、電話を取った方から担当者に引き継いでもらえるかどうかが最初の関門となります。そんな中、最初に電話に出た方から「担当者が席を外している」と言われることが頻繁にあります、ここで引き下がるのではなく、担当者が戻ってくる時間と名前を聞き出して、次の電話へつなげることが重要です。また、予めFAXやメールを送っておいて、「先日お届けした資料の件でご連絡させていただきました」というだけで、非常にスムーズに取り次いでもらえることがあるので有効です。
 
続いて、訪問営業の際の案件獲得率を上げる方法は以下の二つです。
 
・事前に候補者のレジュメを五人分用意する
・レジュメを見せる順番を工夫する
 
法人訪問の際、自社の強みやどのような求職者が集まっているかを伝えるのは非常に重要なポイントとなりますが、やはり具体的なサンプルを見せるのが一番求人企業には効果があります。そのため、訪問前にサンプルとして見せる求職者のレジュメを5人分ほど用意する必要がありますが、見せる順番が重要です。まず、最初に見せるべきなのは希望年収、これまでのキャリアともにクライアントの希望通りであろう求職者です。いい求職者がいることを最初にアピールして相手の温度感を上げることができれば、その後の商談もスムーズに進みやすくなります。次いで見せるべきなのはキャリアの相性はいいが希望年収にずれがある求職者、最後にキャリアにずれがある求職者です。これらのレジュメを見せることで、相手が自社に対して興味を持った状態で条件交渉が行えるため、成約率アップが望めます。
 
もし、立ち上げ直後や求職者不足で、上の様にすぐに紹介できる求職者が5人もいないという場合には、応募者の質をアピールすることが重要です。
人材紹介会社ではキャリアアドバイザー(CA)が応募者の対応を担当しており、企業に紹介するまでに、応募者と面談した上でその人と各求人案件の適性を見極めています。このことは人材紹介会社においては当たり前ですが、法人にとってCAの選定により求職者の質が担保されているため、求人広告や自社採用などその他の採用の手段と比較して、人材紹介を使う際の大きなメリットです。料金制度が成果報酬の場合、求人案件を掲載すること自体には料金が発生しないので、その上で他サービスと比べて求職者の質が高いことをうまく訴求できれば、すぐに紹介できる求職者が少ない場合でも案件獲得率を上昇させることができます。
 
コロナウイルス感染拡大の影響もあり、2020年に入ってからの人材紹介業界は潮目が変わりつつあります。それによって今後、自社で獲得できる求人案件が伸び悩む可能性があります。そんな中、リクルーティングアドバイザーの法人営業におけるKPIを把握し、改善に取り組むことはますます重要となりますので、皆さんこれを機に自社の営業体制を見直してみてはいかがでしょうか。
 
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参考ページ
厚生労働省「一般職業紹介状況」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00037.html

 

 

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