【製造業向けの人材派遣事業】成熟マーケットでも業績を伸ばし続ける人材派遣会社の「最新」事業戦略とは?

 

 

1.製造業におけるコロナウイルスの影響

日本財務省が発表した4月上中旬の貿易統計速報によると、輸入額は14.6%減の4兆1249億円となり、輸出額は前年同期比22.4%減の3兆3373億円でした。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、サプライチェーンの中断と輸出の需要が世界的に減少を背景に、製造業は業績不振に陥り、世界中の多くの工場で稼働を停止する事態に追い込まれています。

地域(国)別輸出入(令和2年3月分)
輸出 輸入 差引額
中国 11,906(▲8.7) 14,318(▲4.5) ▲2,412(―)
米国 11,820(▲16.5) 7,453(1.3) 4,368(▲35.7)
EU 6,337(▲11.1) 6,710(▲9.7) ▲373(―)
総額 63,578(▲11.7) 63,529(▲5.0) 49(▲99.0)

【出所】財務省「貿易統計」に基に船井総合研究所が作成

なお、日本人材派遣協会の調査により、2019年度派遣先の事業で最も多いのは「製造業」で、次に「情報通信業」、「卸売・小売業」、「金融業,保険業」の順となっています。今回コロナの影響で派遣社員ら非正規労働者が解雇や雇い止めが出始めて、雇用環境が急速に悪化しています。


【出所】一般社団法人日本人材派遣協会「2019年度派遣社員WEBアンケート調査」に基に船井総合研究所が作成

また、厚生労働省が発表した1~3月の有効求人倍率(季節調整値)は1.39倍で、3カ月連続の減少となり、最もダメージの大きいのは製造業で、22.8%の減少となった。グラフから見ると元々雇用の現場では以前から米中貿易摩擦の影響で製造業の求人が低下傾向にあり、さらにコロナショックの衝撃により製造業の景況感が再び悪化すると懸念されます。

対前年同月比の推移
2019年 2020年
1月 2月 3月 1月 2月 3月
製造業 0.5% -3.4% -10.4% -26.1% -24.7% -22.8%
有効求人数倍率 1.63 1.63 1.63 1.49 1.45 1.39

 

2.コロナショックによる派遣の課題

国内の製造業で最も規模が大きいのは自動車業界で、中国からの部品提供停滞と世界的な需要低迷も加わり、生産調整を迫られ、企業業績も大きく落ち込みました。そして人材派遣に対するニーズも急減速し、人材関連企業にとっての逆風も強烈なものとなります。

さらに感染拡大を防止するため、企業が在宅勤務などのテレワークが推進することが求められています。しかし、派遣社員は正社員に比べてテレワークの導入が難しいです。理由は2つがあります。一つ目は労働者派遣法に基づき、派遣社員の就業場所や業務内容、勤務時間を細かく取り決める必要があります。そのため、派遣社員が在宅勤務で通常業務とは異なる仕事をする場合、派遣契約を変更する必要が出てきます。二つ目は情報漏えいの恐れです。派遣先の企業自体のセキュリティ対策が十分でない場合は、そもそも派遣社員の在宅勤務は困難です。

そんな中、最も恐れているのは「派遣切り」、「派遣の雇い止め」というワードです。自動車関連の業界をはじめ、3ヶ月契約で期間工を雇っているのが一般的です。更新時には契約期限の1カ月前に通知する必要があるため、4〜6月の3カ月間の派遣契約の更新は2月下旬に行われ、次の7〜9月分の更新は5月下旬となります。しかし、感染の終息時期が不透明な中、自動車工場の再開見通しが立たない現状で、派遣の契約を更新しないケースも出てくる可能性があります

3.雇用維持支援の取り組みとは?

雇用調整助成金

経済産業省などは、派遣労働者の雇用関係の維持するため、中小企業の経営者向けに「雇用調整助成金」は支給されます。対象事業主の範囲は、①コロナの影響を受け、前年同月と比較して売上高が10%以上減少した、②コロナの原因で従業員を休業させているのであれば、派遣元は雇用調整助成金を申請することが可能です。

また、皆さんに注意して頂きたいこととして、休業を行う前に「計画届の提出」が必要です。製造業派遣の場合には、派遣先がコロナの影響により、部品が揃わなくて製品を完成することができない状況という旨の何らかの要請書や通知書が望ましいです。今回の特例として2020年1月24日以降に初回の休業等がある計画届については、2020年5月31日までに提出すれば、休業等の前に提出されたものとみなされます。

「納税の猶予の特例(特例猶予)」

新型コロナウイルスの影響により事業等に係る収⼊に相当の減少があった事業主は、1年間、国税・地方税・社会保険料(厚生年金・健康保険)・労働保険料などの納付を猶予することができます。派遣会社は、コストの7-8割が人件費であるである特性があるため、そこにかかる社会保険料や源泉所得税は他業種と比べて、非常に多くなります。そのため、この猶予特例を受ける資金繰り上のメリットは他業種よりも大きいと思われます。

特例猶予を受けるための要件は以下①②となります。

① 新型コロナウイルスの影響により、令和2年 2 ⽉以降の任意の期間(1か⽉以上)において、売上が前年同期に⽐べて概ね20%以上減少していること。
② ⼀時に納税を⾏うことが困難であること。

①②のいずれも満たす⽅は令和2年6月30日までに猶予申請書を提出するが必要です。

 

3.アフターコロナに向けの「最新」事業戦略

まずは、行政・産業支援機関の支援策(助成金)を活かして、コロナ危機を乗り越えることが最優先です。収束の見通しが立たない中で、雇用をいかに維持するかが危機克服の最大のポイントだと思います。今回の新型コロナ問題では生産体制への直接的な影響も受けているうえ、人材確保が急務は今後もおそらく続くと思います。

多様な働き方・働き手を受け入れ

これから製造業が生産性を向上させていくためにも、働き方改革の実践は取り組むべき課題であるといえるでしょう。またコロナの影響の長期化を見据えて、より多くの企業がリモートワーク環境の整備が求められています。ですので、人材流失の対策として在宅など柔軟な働き方を実現するための環境整備を進める必要があります

例えば、製造業工場の場合には、製造現場で働く必要があり、在宅勤務が難しいです。そこで1カ月の所定労働時間を分勤務すれば、現場に出社する頻度を減らすことができます。他の事務系やエンジニアに対して在宅勤務や時差出勤などを強化し、新型コロナ感染拡大の抑止につなげる同時に優秀な人材の流出を抑止する環境が整えられているといえるでしょう。

なお、企業が即戦力になる労働力を確保するため、特定技能を持つ外国人の受け入れも注目していく必要があります。一時的に生産活動など経済が停滞しても人手不足は続き、その中で「外国人材」の力が必要になります。

地域の人材マッチングの推進

リモートワークの普及により、地域におけるアフターコロナの社会に適応した働き方の実現を推進していくことが期待されています。加えて、地元企業が地域と長年にわたり強い関係を築いているため、地元特定の情報が豊富です。その地域で活躍している企業間の連携により、地域の人材確保や育成で円滑化する仕組みを強化することで、アフターコロナの人材確保に向けた備えとして有効と考えられます。

ダイレクトリクルーティングを導入

不景気やグローバル化を背景に製造業へのマイナスイメージを改善するため、企業自ら、求める人材を積極的にスカウトし、直接アプローチすることが大切です。さらに、イメージアップの取り組みとして、自社のホームページで企業情報、生産設備・技術、社員のインタビュー、お客様の声(事例)など自社の強みやターゲット層を紹介し、SNSの活用により潜在層への認知拡大することでより多くの人に自社の魅力を届けることができます。

その他船井総研人材ビジネス支援部では、人材派遣・人材紹介・人材募集等、各種人材ビジネス経営に関するご相談も受付しております。少しでも不安点やお悩みがございましたら、「無料」での個別相談も受付しておりますので、この機会にぜひ下記リンク先をご覧頂き、お申込みくださいませ。
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参考資料
https://www.customs.go.jp/toukei/latest/index.htm
財務省貿易統計
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212893_00034.html
厚生労働省 一般職業紹介状況(令和2年3月分及び令和元年度分)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09852.html
厚生労働省 新型コロナウイルス感染症の影響に伴う雇用調整助成金の特例措置の対象事業主の範囲の拡大について
https://www.jassa.or.jp/employee/enquete/200115web-enquete_press.pdf
一般社団法人 日本人材派遣協会 2019年度派遣社員WEBアンケート調査

 

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