1.保育業界の動向
保育士を採用できない理由を保育業界の動向から読み取っていきましょう。まずは、こちらのグラフをご覧ください。
(出典)厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」https://www.mhlw.go.jp/content/000528467.pdf
※保育士の有効求人倍率について、各年度の最も高い月の数値を記載
*有効求人倍率…仕事を求めている人1人に対して企業から何件の求人があるかを示す指標
*生産年齢人口…15歳以上65歳未満の生産活動の中心にいる人口層
こちらのグラフは、全国の2015年から2019年までの有効求人倍率の推移を表しています。赤の線で示されているのが、保育士の有効求人倍率です。
【グラフから読み取れること】
・保育士の有効求人倍率が年々上昇している
・2019年4月時点で全職種の有効求人倍率は1.52倍、保育士の有効求人倍率は2.52倍
少子高齢化の影響により、2008年から総人口が減少に転じました。このまま進むと、2050年には日本の総人口が1億を下回ると予想されています。
現在、生産年齢人口が減少したことで、業界問わず人手不足が問題視されています。しかし保育士の求人は、全業種の有効求人倍率を常に上回っています。
つまり、保育業界では圧倒的に人手が足りていないということです。
次項では、保育士が不足している背景について考えていきます。
2.保育士不足の背景
日本では、2050年に生産年齢人口が1億人をきると予想されています。政府は、少子高齢化に歯止めをかけ、50年後も人口1億人を維持し、あらゆる場で誰もが活躍できる全員参加型の社会を目指すため、2016年6月2日「ニッポン1億総活躍プラン」を閣議決定しました。
その中核となった政策が、女性活躍の推進です。
【女性活躍のための取り組み】
・役員候補段階の⼥性を対象にしたリーダー育成研修
・子育て等で⼀度退職した正社員が復職する道が⼀層開かれるよう、企業へ働きかけ など
この取り組みにより、以下のような変化が起きました。
【女性活躍推進による変化】
・女性就業率の増加
(参考)総務省統計局「労働力調査平均結果の要約(2019年)」
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/ft/pdf/index1.pdf
この表は、就業率の推移を表したものです。
閣議決定後の2017年と最新の2019年の男女別就業率を比較していきましょう。
・男性は1.3ポイント増加
・女性は2.4ポイント増加
男性よりも女性の就業率が伸びています。
以上から、女性の社会活躍が推進されているということがわかります。
それまで女性は、子供ができたら仕事を辞め、家庭に戻るスタイルが一般的でした。しかし、女性の社会進出が促進されたことにより、子供ができても、子供を保育園に預けて仕事を続けるスタイルが浸透しました。その結果、発生した問題が「待機児童問題」です。
【待機児童問題発生の背景】
※船井総研にて表作成
待機児童は社会問題として大きく取り上げられました。女性も活躍し続けることができる社会に向けて、育児と仕事を両立できる環境の整備が必要となり、新規園設立や定員増といった受け皿を増やす「待機児童解消加速化プラン」が進められました。
その結果、保育の担い手である保育人材が不足してしまったということです。
3.保育士の採用マーケット
保育人材を獲得する方法は2つあります。
【保育人材を獲得する方法】
①新たな保育士資格者を増やし、人材を育成する
②保育士資格を既に持っている人材を獲得する
採用する保育人材は、資格保持者でなければなりません。保育士不足の原因は、保育士資格保持者が少ないことでしょうか?それでは、次のグラフをご覧ください。
(参考)登録者数:厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課調べ(各年4月1日)
勤務者数:厚生労働省大臣官房統計情報部「社会福祉施設等調査」(各年10月1日)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/s.1_3.pdf
このデータは、2006年~2013年と少し昔のものですが、保育士登録者数は毎年増加している一方で、勤続者数は微増、潜在保育士は増加していることがわかります。
(引用)厚生労働省「保育資格保有求職者における保育士職種の就業を希望する割合」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000057759.pdf
上記のグラフでは、保育士職種を希望しない保育士資格保有求職者が約半分を占めています。約5割の保育士資格保有者が潜在保育士になる可能性があると示しています。
つまり、保育士の人材不足解消のためには、新たな保育人材を育成するだけではなく、潜在保育士に対して、アプローチをする必要があるということです。
それでは、潜在保育士が増加している理由について考えていきましょう。
(引用)厚生労働省「【保育士としての就業を希望しない理由】(複数回答)」
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000057
主に勤務条件や職場環境に関わる項目が上位を占めています。
保育士人材を確保するためには、処遇改善や勤務環境の改善に取り組み、職場としての魅力を高めることが必要でしょう。
保育人材を確保するため、行われた施策が以下です。
【保育士確保プラン】
【参考】厚生労働省(「保育士確保プラン」の公表)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000070943.html
従来の人材育成、就業継続支援、再就職支援、働く職場の環境改善を「4本の柱」として、引き続き実施するとともに、保育士確保に関する関係機関等との連携強化や施策に関する普及啓発を積極的に行うなど、保育業界の人手不足を改善するため更なる推進を図っています。
4.潜在層にも届く、効果的な人材募集方法
保育士の求人募集を行う際、一般的に他社媒体を活用し、募集を行っていると思います。しかし、求人広告に自社求人を載せても、応募がこないなんてことありませんか?
【求人募集がこない理由】
・前述したとおり、保育士の有効求人倍率は圧倒的に高い
・現在、生産年齢人口の約9割がインターネットを利用している
以上のことから、Web広告を利用して求人募集を行う競合が多く、そもそも求人情報が見られていない可能性があります。
では、どうすればターゲットに求人を届けることができるでしょうか?
【自社の求人を認知し、応募してもらう方法】
①多媒体で最適なWeb広告運用
②魅力的な自社求人サイト制作・運用
この2つを効果的に行うことが重要です。
①Web広告運用
これまでお話したように、保育士は約半分が潜在保育士である可能性があります。保育士の求人を探しているニーズのある顕在層だけでなく、潜在層にも広告を見てもらう必要があります。
※船井総研にて表作成
各媒体で狙うことができるターゲット層を理解し、用途に合わせて媒体を活用することで、効率的に自社メディアに誘導しましょう。
②自社求人サイト制作・運用
せっかく自社メディアに誘導する導線を作っても、応募に至らなければ、人材は採用することができません。自社の求人サイトを制作・効果的に運用することで、以下のようなメリットがあります。
・情報量を多く掲載できるため、マッチング度の高い人材から応募がくる
・応募者の状況に応じてデータ解析を行い、よりよいサイトにできる
・他社媒体に頼ることなく独自の宣伝が可能となる
以上、①多媒体で最適なWeb広告運用と②魅力的な自社求人サイト制作・運用の2つを効果的に行うことで、保育士の採用に困らない仕組みを構築しましょう。
5.まとめ
今回ご紹介したように、保育人材の需要は高まっているため、採用困難職種となっています。地域の保育業界にとって、メディアに情報を載せるだけの受け身の採用方法では応募が集まりづらい傾向にあります。
自社メディアにより多くの保育士を誘導するため、他社よりも優れた広告の運用を多媒体で行う方法がいいでしょう。
また、せっかく自社サイトに流入した求職者が他社サイトへ流れないよう、求職者にとって利用しやすいサイトの設計を考えることで、採用に困らない仕組みを構築することができます。
採用に困らない仕組み構築のため、SNS広告やリスティング広告といったターゲットに届く最適な媒体を活用した広告運用、自社サイトの設計・運用を、他社と差別化を図りながら行っていかなければなりません。
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参考文献
スタンバイ「保育士になるには・仕事内容・資格と試験」
https://jp.stanby.com/contents/detail/hoikushi