資金操り支援についての緊急経済対策一覧
政府においては、中小企業や個人事業主の資金操り支援向けの主な対策は以下の通りです。
1.日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」
2.商工会議所等の「新型コロナウイルス対策マル経※融資」
3.商工中金等の「危機対応融資」
4.上記及び対象貸付の「実質無利子・無担保融資」(特別利子補給制度)の創設
※小規模事業者経営改善資金融資
その中、「実質無利子・無担保融資」は、大きく分けて政府系(公的)金融機関による融資と民間の信用保証付きの融資(民間)に分けられます。
この記事は「実質無利子・無担保融資」、主に政府系金融機関について解説します。
実質無利子・無担保融資の概要
この制度は、日本政策金融公庫や民間金融機関等による融資枠の継続・拡充として、事業者への資金繰り支援策の1つとしての措置を講じています。
新設された新型コロナウイルス関連特別融資は、元々既存の公的融資と比べ、さらに低利、返済条件も緩やかで、実質無利子・無担保という特徴があります。
「実質無利子」とは、
公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」の融資を受けた後、ご返済いただいた利子について、公庫以外の実施機関から利子補給を受けることで、お客さまのご負担される利子が実質的に無利子になるというものです。
感染拡大の影響で売り上げが減少した中小企業や個人事業主が、原則として3年間、3000万円を上限に実質無利子で融資を受けられます。
また、信用保証付きの民間融資の保証料も半額又は無料化(通常なら保証料が必要です)して、公的融資と同様に実質無利子化が実現されます。
申請要件・手続きとは?
まずは日本政策金融公庫の融資についてです。
この融資制度自体は「新型コロナウイルス感染症特別貸付」、「マル経融資」、「危機対応融資」として、既に申し込みが可能です。
この3つの政府系融資制度のいずれも受けている企業・個人のうち、さらに別の要件に該当する方は「実質無利子」の対象となります。
(1)対象及び要件
対象 | 売上の減少要件 |
---|---|
①日本政策金融公庫の「新型コロナウイルス感染症特別貸付」 ②工会議所等の「新型コロナウイルス対策マル経融資」 ③商工中金等の「危機対応融資」 による借入を行った A小規模個人事業主※ B小規模法人※ C中小企業(上記ABを除く) |
①個人事業主(事業性のあるフリーランス含み、小規模に限る):要件なし ②小規模事業者(法人事業者) :売上高▲15%減少 ③中小企業者(上記➀➁を除く事業者):売上高▲20%減少 |
※小規模要件
・製造業、建設業、運輸業、その他業種は従業員20名以下
・卸売業、小売業、サービス業は従業員5名以下
(2)融資限度額
公庫国民生活事業 | 3,000万円 |
公庫中小企業事業 | 1億円 |
商工会議所等 | 別枠1,000万円 |
商工中金等 | 1億円 |
(3)据置期間
公庫 | 5年以内 |
商工会議所等 | 運転資金3年以内 |
商工中金等 | 5年以内 |
(4)優遇期間
借入後当初3年間、4年目以降基準金利に戻る。
(5)担保
無担保
申請手続きとして、まず、現在融資を受けている取引金融機関に相談してください。取引をしていない金融機関に新規に相談することも考えられます。
また、経済産業省の「新型コロナウイルス経営相談窓口」も積極的活用してください。
特例として、今年1月29日以降に、日本政策金融公庫等から借入を行った方について、上記適用要件を満たす場合には制度の遡及適用が可能です。
また、公庫の既往債務の借換も実質無利子化の対象となります。
しかし、政府系金融機関に融資の申し込みが殺到して、手続きに時間がかかっているため、5月1日より、民間金融機関において実質無利子・無担保融資も開始します。
民間金融機関の融資制度は、既存の「セーフティネット保証4号」「セーフティネット保証5号」「危機関連保証」の一部を変更したものになります。
セーフティネット保証4号とか5号とか危機関連保証※とは、今回のコロナの影響で売上が減少した企業に対して、融資を申請するとき、信用保証協会という組織が保証人になります。
※市区町村から認定書が必要
(1)対象及び要件
対象 | 売上減少要件 |
---|---|
個人事業主(事業性のあるフリーランス含み、小規模のみ) | 売上高等前年同月比べ▲5%以上減少→ 保証料ゼロ・金利ゼロ |
小・中規模事業者 | 売上高等前年同月比べ▲5%以上減少→ 保証料半額 売上高等前年同月比べ▲15%以上減少→ 保証料ゼロ・金利ゼロ |
(2) 融資限度額
3000万円
(3) 据置期間
5年以内
(4) 優遇期間
保証料は全融資期間、利子補給は借入後当初3年間
政府系金融機関への融資申込ときの注意点
▶売上高の減少について、いつの時点と比較する
原則とは前年同期の売上高と比べます。しかし、昨年同月と比較できない場合も対象になるケースがあります。
①設立1年未満の場合
・過去3ヶ月の平均売上高
・令和元年12月の売上高
・令和元年10月~12月の売上高平均額
のいずれかと比較し5%以上減少している場合は対象になります。
②ベンチャー・スタートアップ企業・会社吸収合併等の場合は、設立1年未満と同様の要件比較で対象になる可能性がありますので、日本公庫にご相談ください。
▶複数の制度を利用する
必要金額が大きい場合や、資金を急ぐ場合は、日本政策金融公庫と信用保証協会への同時の申し込みは可能です。
双方へ申し込みすることで、融資の実行が早まり、トータルとして十分な金額を利用できる可能性が高まります。
まとめ
この記事が、中小企業の経営者に行き届き、最大限活用され、ともにこの苦境を乗り越える一助となればと願っています。
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参考資料
1.https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
経済産業省 「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」
2.https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/pdf/covid_19_faq_jisshitsumurishika.pdf
日本政策金融公庫「実質無利子化」に関するQ&A」
3.https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/faq2.pdf
経済産業省
「政府系金融機関の融資をご検討されている方へ相談窓口に寄せられたよくある質問」
4.https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/shikinguri_list.pdf
経済産業省 「資金繰り支援内容一覧表」