初めに
現在、人材紹介の需要増加や、採用手法の多様化の流れを受け、人材紹介サービスの市場が広がっています。この背景には日本の人材不足問題が大きく関与しています。
厚生労働省の調べによると2017年9月時点での有効求人倍率は1.52倍と発表され、バブル期の1.46倍と比べてもわかるように非常に高い数値となっています。多くの企業はこの影響を受け、新卒採用では予定の採用人数を獲得できず、中途や来年度の新卒採用で補充するほかない状況になっています。
参照:厚生労働省『一般職業紹介状況(平成29年9月分)について』
さらに人材不足の流れは、2018年以降も続くと予想されています。
新卒採用で人材が確保できないことは、若手労働力の確保、将来のリーダー・コア人材の獲得による組織活性化を目指す企業にとっては大きなダメージです。
採用人数が不足している企業は、翌年度の新卒採用でも補充が難しい状況になることが予想されており、実質7割以上の企業が、2019年度の新卒採用活動は厳しくなると答えています。
出典:マイナビ「2018年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」(2017年11月8日)
そうした理由から、現在多くの企業が、様々な採用手法で対策をしており、その一つとして人材紹介サービスが注目されています。
そもそも人材紹介サービスは、転職や再就職を希望する求職者と、中途採用を行う企業で多く利用されています。しかし上記の流れにより、転職だけでなく、新卒採用でも人材紹介を利用する企業が増えてきています。今回は、新卒向けの人材紹介サービスについてご紹介していきます。
人材紹介について知りたい方は『簡単に分かる人材紹介会社の仕組みと手数料(報酬)決定版』をご参照ください。
新卒向け人材紹介とは
新卒向け人材紹介(新卒紹介)は、ソーシャルリクルーティングや新卒ハローワークのような新しい採用手法の一つです。
ビジネスモデルは通常の人材紹介と同じで、異なるのは新卒採用に焦点を当てているという点だけです。
サービスで大きく違う点としては、採用側の採用ニーズをふまえ、紹介会社が新卒人材を選定するというところです。つまり通常の人材紹介が、求職者に合った企業を選びその企業を求職者に紹介するのに対し、新卒紹介では企業のニーズにあわせ新卒人材を企業に紹介しているということです。
新卒紹介会社によっては採用試験の代行や採用合否の通知などの採用プロセスの一部を代行する場合もあります。
新卒紹介サービスの流れ
新卒紹介も人材紹介同様、求人企業と求職者(新卒学生)の2方面にアプローチを行います。(下記図参照)
①まず、登録制のWEBやSNSを用いて多くの学生のデータ、プロフィールを集めます。
②さらに登録のあった学生と面談を行い、その学生の性格や特徴、スキルなどをチェックします。
③次に、企業から求人申し込みを受けると、
④企業の特色、社風、アピールポイントや、その企業が求める人材の特徴をリサーチします。
⑤そして、企業が求める人材、相性のいい人材をデータベースから選定し、新卒紹介会社のエージェントがその学生に求人企業の説明や、いい点をアピールします。
⑥そこで学生がエントリーを決めると、学生の詳細データとともに企業に紹介し、その後の企業のセミナーや、面接日の日程調整を行います。
ここまでが新卒紹介の一般的な流れです。
その他、紹介会社によっては、学生に対しての研修を行いレベルの底上げをする会社や、学生と企業のマッチングイベントを実施する会社などがあります。
新卒紹介ビジネスの流れ
新卒紹介の売上(手数料)
新卒紹介サービスでの手数料も、一般的な人材紹介ビジネスと同様に完全成功報酬型をとっている企業がほとんどです。そのため、紹介した学生が企業から内定をもらい、その企業に入社したタイミングで料金が発生します。
手数料は紹介会社が実施するサービスによって幅があり、一人当たり30万円~100万円が目安となっています。転職での人材紹介手数料(想定年収の25~35%)と比べると、一人当たりの売上は小さくなりますが、新卒市場では求職者の母数が70万を超え圧倒的に多いため、全体でみると売上をとりやすいビジネスといえます。
様々な新卒紹介
もともと新卒紹介は、転職市場における人材紹介会社が新たなサービスとして始めているケースが多いです。そのため、現在幅広い職、種幅広い学生を対象にした新卒紹介を行っている会社は、古くから人材ビジネスを行っている会社がほとんどです。また、新卒採用手法として新卒紹介が確立してからまだ日が浅く、各社とも自社の強みやサービスを特化し、差別化を図っています。
上記で述べたような、採用プロセスの代行や、学生の教育や研修、マッチングイベントの実施などもその一つです。その他、特化型新卒紹介として、扱う学生のタイプ(理系、文系、美大など)を絞ったり、業種や職種を絞ったりし、マーケットを特化することで差別化を図っている会社も複数あります。
総括
「新卒紹介サービス」は、新卒採用手法として確立されてから、まだ日が浅いビジネスです。
そのため、このサービスを利用する学生は、就職活動に対しアクティブな意識の高い学生が使うサービスという印象が強いです。しかし、売り手市場が続きダイレクトリクルーティングの考えが普及する中、このようなサービス需要が増加し、今後学生の中で新卒紹介が就職活動のツールとして一般化していくと予想されます。
すでに人材紹介サービスをしている紹介会社や、今後新規事業を立ち上げようとしてる方には、高い需要、高い売上が見込めるこの新卒紹介ビジネスを始めることをお勧めいたします。
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