【2017年最新版】労働基準法ピンポイント解説 Part6【休業補償】

打切補償って何?療養補償、休業補償はどのようにしてもらえるの?
労働基準法で特に重要な条文をピックアップし、わかりやすく解説します。


労働基準法とは?

労働基準法は、憲法25条と27条に基づき、労働者の権利を守るために制定された法律です。(第1条)
労働者と使用者(企業)は対等な立場であり、お互いに就業規則や労働契約を守る義務があります。(第2条)
労働基準法における労働者とは、職業の種類を問わず、事業(事務)所に使用され、賃金を支払われる者をいいます。(第9条)
労働基準法における賃金とは、賃金、給料、手当、賞与、その他の名称の如何を問わず、労働の対象として使用者(企業)が労働者に支払うすべてのものを指します。(第11条)

労働基準法の基本は以上の条文になります。以下では、第75条~第87条を解説していきます。

なお、労働基準法の条文全体における本記事の位置づけは以下のようになっています。

第一章 総則
第二章 労働契約
第三章 賃金
第四章 労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇
第五章 安全及び衛生
第六章 年少者
第六章の二 妊産婦等
第七章 技能者の養成
第八章 災害補償
第九章 就業規則
第十章 寄宿舎
第十一章 監督機関
第十二章 雑則
第十三章 罰則
附則

第75条 療養補償

労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。
○2  前項に規定する業務上の疾病及び療養の範囲は、厚生労働省令で定める。

使用者が補償しなければならない業務上の疾病は以下の通りです。(労働基準法施行規則第35条)

業務上の負傷に起因する疾病


物理的因子による疾病

紫外線による前眼部疾病及び皮膚疾患や赤外線による網膜火傷、白内障等の眼疾病及び皮膚疾病など

身体に過度に負担のかかる作業態様に起因する疾病

重量物を取り扱う業務や四肢に過度に負担のかかる業務による運動器障害、関節の疾病など

化学物質による疾病


粉じんを飛散する場所における業務による疾病

細菌・ウイルスによる疾病

診療・看護・介護・研究やその他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾病
動物やその死体、獣毛などの動物性の物を取り扱う業務による伝染性疾病

がん原性物質・因子・工程における業務による疾病


長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止 心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病


九人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病

その他業務に起因することが明らかな疾病

また、療養の範囲は以下の通りです。(労働基準法施行規則第36条)

診療

薬剤または治療材料の支給

処置、手術その他の治療

居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護

病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

移送

第76条 休業補償

労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の百分の六十の休業補償を行わなければならない。
○2  使用者は、前項の規定により休業補償を行つている労働者と同一の事業場における同種の労働者に対して所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金の、一月から三月まで、四月から六月まで、七月から九月まで及び十月から十二月までの各区分による期間(以下四半期という。)ごとの一箇月一人当り平均額(常時百人未満の労働者を使用する事業場については、厚生労働省において作成する毎月勤労統計における当該事業場の属する産業に係る毎月きまつて支給する給与の四半期の労働者一人当りの一箇月平均額。以下平均給与額という。)が、当該労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた日の属する四半期における平均給与額の百分の百二十をこえ、又は百分の八十を下るに至つた場合においては、使用者は、その上昇し又は低下した比率に応じて、その上昇し又は低下するに至つた四半期の次の次の四半期において、前項の規定により当該労働者に対して行つている休業補償の額を改訂し、その改訂をした四半期に属する最初の月から改訂された額により休業補償を行わなければならない。改訂後の休業補償の額の改訂についてもこれに準ずる。
○3  前項の規定により難い場合における改訂の方法その他同項の規定による改訂について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

労働者が第75条による業務上の負傷や疾病のために療養する場合、本来労働で得られたであろう賃金の60%を休業補償として支払わなければなりません。
また、その負傷や疾病のために、所定労働時間の一部分のみ労働した場合は、平均賃金とその労働に対して支払われる差額の60%を休業手当として支払わなければなりません。(労働基準法施行規則第38条)
これらの療養補償や休業補償は毎月1回以上行わなければいけません。

なお、基本的にこれらの補償は労働災害補償保険から支給されます。

第81条 打切補償

第七十五条の規定によつて補償を受ける労働者が、療養開始後三年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の千二百日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

労働者が第75条による業務上の負傷や疾病のために療養し、3年を経過しても負傷や疾病が治らない場合、平均賃金の1200日分を打切補償として支払うことで、以後の労働基準法に関わる全ての法的補償責任を回避できます。
よって、打切補償支払い後の負傷や疾病に関する補償責任に加え、第19条の解雇制限も解除されます。

※第19条については「【2017年最新版】労働基準法ピンポイント解説 Part1」をご覧ください。

第87条 請負事業に関する例外

厚生労働省令で定める事業が数次の請負によつて行われる場合においては、災害補償については、その元請負人を使用者とみなす。
○2  前項の場合、元請負人が書面による契約で下請負人に補償を引き受けさせた場合においては、その下請負人もまた使用者とする。但し、二以上の下請負人に、同一の事業について重複して補償を引き受けさせてはならない。
○3  前項の場合、元請負人が補償の請求を受けた場合においては、補償を引き受けた下請負人に対して、まづ催告すべきことを請求することができる。ただし、その下請負人が破産手続開始の決定を受け、又は行方が知れない場合においては、この限りでない。

特に建設事業についてですが、数次の請負(下図参照)では、その元請負人を使用者とみなし、労働災害補償については元請負人が責任を負わなければなりません。
また、元請負人が下請負人と書面で契約することで、補償の義務を下請負人に引き受けさせた場合、下請負人も責任を負うことになります。ただし、元請負人の責任がなくなるわけではありません。

総括

本記事では、労働基準法第75条~第87条を掲載・解説しました。
第87条以降の解説については、以下の記事をご覧ください。

【2017年最新版】労働基準法ピンポイント解説 Part7」(第89条~第93条)

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参考サイト

労働基準法施行規則別表第1の2が改正されました―厚生労働省

法令データ提供システム|電子政府の総合窓口e-Gov イーガブ―労働基準法

情報公開推進局TOP~JOSHRC―労働基準法関係解釈例規

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