【2017年版】人材派遣業界の市場規模と、派遣業界の今後の動向について

人材派遣業界の市場規模について解説します。さらに2020年にかけての派遣業界の今後の動向についても解説します。


人材派遣業の概要(人材紹介業との違い)

人材派遣業は、厚生労働省の許可を受けて求職者(派遣社員)を求人者(派遣先企業)に派遣する業態のことを指します。
ここで、同じ人材ビジネスである人材紹介業との違いを解説します。

人材紹介業も厚生労働省の許可を受けて事業を行っている点では同様ですが、取引先企業に候補者を紹介し、雇用が決定した場合に雇用契約を結ぶのは取引先企業とその候補者になります。


一方で人材派遣業では、業務の指示は派遣先企業が派遣社員に出しますが、雇用契約は派遣先企業ではなく派遣会社と結びます。給与も派遣会社から発生します。つまり、最も大きな違いは雇用契約を結ぶか結ばないかの点になります。


また、ビジネスモデルでも相違があります。
後述しますが、人材派遣業では継続的に収入が得られる一方で、職業紹介業では利益率が高い代わりに継続した収益が保障されないという違いがあります。

売上構造

派遣会社や派遣社員の職種によって多少の違いはありますが。派遣料金の70%は派遣社員の賃金が占めています。加えて、派遣会社が派遣社員の雇用主として負担する社会保険料が10.5%です。また、派遣社員にも当然発生する有給休暇の費用も派遣会社が支払います。以上までで、派遣社員に関連する費用で全体の8割強を占めています。そこから、会社経営に関わる諸経費を差し引き残った1.6%が派遣会社の営業利益になります。このように、意外にも派遣会社の利益率は高くないことがわかります。


一方で、職業紹介業では紹介手数料として成功報酬型を用いることがほとんどです。紹介手数料(報酬)は、市場において特に定められているわけではありませんが、求職者の想定年収の30%~35%が相場のようです。
よって、想定年収が400万円であれば(400×30%=)120万円の報酬が発生するということです。

上記のように、1人の求職者と求人者のマッチングに成功すれば100万円以上の報酬が発生するわけですが、実は求職者1人あたりの原価はほとんどかかっていません。
人材派遣業と異なり、特に教育訓練を求職者に施す必要がありませんから、同じ人材ビジネスでも原価率が飛びぬけて良いのです。
その反面、求職者と求人者が雇用契約に至らなかった場合、紹介手数料は発生しませんから、安定して継続した収益を得られるビジネスモデルとは言えません。

売上ベースでみる市場規模

※記事作成時点(2017年1月現在)で判明、確定している資料に基づきます。
人材サービス産業全体の市場規模は、およそ8兆円です。
これは、近年伸びてきている介護や損害保険などと匹敵する規模ですから、かなり大きい市場であるということができます。

では、人材サービスの個々の市場規模を見てみましょう。
・人材派遣
➢ 5.4兆円
・請負
➢ 1.5兆円
・求人広告
➢ 1兆円
・職業紹介
➢ 3000億円

最も大きいのは人材派遣の市場である一方で、職業紹介が最も小さい市場であることがわかります。

取扱求人数ベースでみる市場規模

※記事作成時点(2017年1月現在)で判明、確定している資料に基づきます。
先ほどは売上ベースで市場規模を見ていましたが、今度は取扱求人数ベースで市場規模を見てみましょう。
・人材派遣
➢ 83万件
・請負
➢ 3.2万件
・求人広告
➢ 545万件
・職業紹介
➢ 344万件

取扱求人数では、人材派遣は職業紹介よりもだいぶ少ないことがわかります。理由としては、以下のような職業紹介ならではの利用者のメリットによるものだと考えられます。

職業紹介会社を利用するメリット(利用者視点)

・就業中でも登録しておけば転職活動が容易
・スキルやキャリアといった適正に最適な会社を紹介してもらえる
・選考時フォローが得られる

以上のように、「手軽に転職活動ができる」というのが利用者にとっての最大のメリットです。このようなメリットは、「とりあえず登録」という行動を起こさせるため、結果的に取扱求人数が増えることになります。

求人広告に関しては、幅広く情報を伝達し、一定の期間中に集客できるという点で最も手軽にできる手法のひとつであり、また最も一般的な手法のひとつでもありますから、飛び抜けて件数が多いのも納得です。

人材派遣については、派遣社員が稼働しない限りコストがかかる一方なので、収益を出せる程度に稼働率を上げる必要があるため、必然的に取扱求人数が伸びにくい特徴があります。
そんな人材派遣ですが、利用者側のメリットはどのようなものなのでしょうか。

人材派遣を利用するメリット(利用者視点)

・期間や時間を選べる(長時間労働がない)
・好きな職種や職場を選べる
・パートやアルバイトよりも給料水準が高い(保険に加入できる)
・直接雇用の可能性がある

以上のように、人材派遣会社を利用するメリットは多いです。
また、近年の労働環境の変遷(詳しくは後述します)から、人材派遣への注目が高まっています。

総括-人材派遣会社の今後

人材派遣業は、人材サービス業界の稼ぎ頭であり、今後も市場の拡大が予想されますが、将来的にはどうなっていくのでしょうか。

雇用構造の変化

女性雇用者がかなり増えてきている今、働き方もかなり変わってきています。
特に、「ワークライフバランス」が重視される昨今、正社員よりも「自由に」、「気ままに」働きたいという願望に答えるのが、「人材派遣」という業態といえます。

人材派遣に期待されるのは、特に「女性の社会進出」ですから、かなり社会貢献度の高い業態ということもできます。

更に、超高齢化社会が目前に迫っていることから、高齢者も徐々に労働市場へ参入してくることが予想されます。

この問題は、求職者のキャリアプランのサポート、キャリアチェンジの支援、中高年層の活用などの必要性を示唆しています。

「中高年層の活用」「キャリアチェンジの支援」では、一般的な派遣の形態と並行して「紹介予定派遣」への期待も高まります。

(参考)紹介予定派遣とは?

紹介予定派遣とは、派遣社員が派遣先企業と直接契約(正社員・契約社員)を結ぶことを前提に、一定期間(6ヶ月まで)の人材派遣を行うシステムです。
人材会社は、人材派遣業と人材紹介業を行うための資格や許認可を両方取得している必要があります。

※「紹介予定派遣」について詳しくは こちら の記事より。

サービス経済化

2020年にかけて、サービス職は105万人、専門技術職は43万人増加し、運輸通信職は323万人減少するといわれています。
このような職種間の就業者の移動は、働き手にとっては容易なことではありません。特に中途採用では即戦力が求められますが、自分の経験上にやったことのある職種や業種への移動は困難になってくるでしょう。
表面上は関係のない職種や業種でも、求職者ひとりひとりの適性やスキルを異業種に活かすサポートの必要性が示唆されています。
ここで、キャリアコンサルタント(人材コーディネーター)の出番になります。
人材派遣においては、一般派遣や特定派遣のほか、紹介予定派遣といった形態も織り交ぜながら、求職者にとって最善のキャリアチェンジをサポートすることが期待されます。

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参考サイト

リクルートワークス研究所 | Works Institute‐人材ビジネスの市場規模・事業展望

リクルートワークス研究所 | Works Institute‐2020年の「働く」を展望する 成熟期のパラダイムシフト

株式会社矢野経済研究所―人材ビジネス市場に関する調査を実施

一般社団法人 日本生産技能労務教会-2020年の労働市場と人材サービス産業の役割

平成26年度 労働者派遣事業報告書の集計結果 |報道発表資料|厚生労働省

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