【2017年最新版】労働者派遣法徹底解説

現行の労働者派遣法について、過去の改正のポイントをおさえつつ、派遣の3年と契約社員の5年など、曖昧になりがちな部分も併せてわかりやすく解説します。


労働者派遣法とは

労働者派遣法(以後、派遣法)とは、特に派遣社員として働いている労働者の権利を守るための法律です。
よって派遣法は、派遣会社や派遣先企業が守るべきルールブックということができます。

派遣法は比較的歴史の浅い法律で、短いスパンで改正が行われています。
直近では、2015年(平成27年)に大幅な改正がありました。その3年前、2012年にも改正がありましたが、この年から人材派遣に関する規制が強化され始めます。詳しくは記事の後半で解説しますが、まずは錯誤しやすい部分や曖昧になりがちな部分を明確にするために時系列順に解説します。

錯誤しやすいキーワードの解説箇所

なお、一般的によく知られている「労働基準法」は、正社員や契約社員、パートや派遣社員といったすべての労働者に適用されますから、当然こちらも遵守しなければなりません。

実務で重要な部分をピックアップ

(2017年1月時点)

労働者派遣事業の許可
➢ 労働者派遣事業を行うためには、厚生労働大臣の許可を得る必要があります。

派遣が禁止されている業務
➢ 港湾運送業務、建設業務、警備業務、病院などでの医療関連業務

日雇い派遣の原則禁止
➢ 日雇い(派遣会社との労働契約が30日以内)の労働者を派遣することは原則としてできません。ただし、以下
の業務や条件においては例外として可能になります。

離職後1年以内の労働者の派遣禁止
➢ 60歳以上の定年退職者以外の人は、離職後1年以内に元の勤務先へ派遣労働者として派遣することはできません。

グループ企業への派遣割合の規制
➢ 派遣会社が属するグループ企業への派遣は、派遣会社が派遣している全労働者の8割以下にする必要があります。

マージン率などの情報提供
➢ インターネットなどを通じて、派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取り組み状況などを公開する必要があります。

派遣契約の期間制限
➢ 事業所単位
◇ 派遣先の同じ事業所に派遣できる期間は、原則として3年が限度になります。3年を超えて派遣を継続させる場合は、派遣先の事業所の過半数労働組合などからの意見を聞く必要があります。

個人単位
◇ 同じ派遣社員を、派遣先の事業所における同一の部署に対し派遣できる期間は、3年が限度になります。

個人単位の期間制限である3年を過ぎてしまうと、その派遣社員は同一の職場で働くことができなくなってしまいます。この、3年を過ぎてしまう最初の日を抵触日といいます。
派遣会社は、派遣契約締結時に派遣社員に抵触日がいつになるかを告知する必要があります。
また、派遣先企業が抵触日を超えてその派遣社員を継続して受け入れたい場合は、直接雇用の申込みの義務が発生します。

事前面接の禁止
➢ 派遣先企業が派遣社員を指名したり、派遣される前に面接を行ったり、履歴書を送付させることは原則として禁止です。ただし、紹介予定派遣についてのみ、事前面接や履歴書の送付などが認められています。

労働者派遣法の歴史

1986年7月1日施行

労働者派遣法が施行されたのは、1986年が最初になります。しかし、人材派遣に似た業態はすでに存在しており、労働者派遣法が施行されるまでは正式に認められた業態ではありませんでした。
1980年代に入りこうした業態が定着してくるにつれ、労働者の保護の観点からいよいよ労働者派遣法が施行されることになります。
当時の労働者派遣法は労働者保護が主な立法趣旨であったため、当初は専門性が高く正社員と代替性のない16の業務しか人材派遣の対象ではありませんでした。

1996年改正

無許可の人材派遣会社からの派遣の受け入れを行っている派遣先企業への勧告や、公表が制度化されました。
また、人材派遣の対象となる業務が16から26に拡大されました。

1999年改正

従来、人材派遣は原則禁止であり、専門性の高い一部の業務でのみ認められていましたが、この年の改正で原則禁止から一部禁止、つまり原則自由化に改正されました。
また、既存の26業務においては3年、それ以外の原則自由化となった業務は1年の派遣受入期間の制限が設けられました。
さらに、派遣会社や派遣先企業が講ずるべき措置に関する指針も設けられ、労働者の保護を保ちつつ、徐々に規制が緩和されていきます。

2004年改正

この年から、26業務の派遣受入期間の制限が撤廃されました。また、自由化業務に関しても最長3年に延長されました。さらに、製造業務への派遣の解禁、紹介予定派遣の定義を明確化し事前面接を解禁、医療関係業務の紹介予定派遣の解禁など、大幅に規制が緩和されました。

2007年改正

製造業務の派遣受入期間の制限が3年に延長されました。
また、医療関係業務について産前産後や育児休暇、介護休暇中に限り通常の派遣を解禁し、弁理士や公認会計士の派遣についても解禁されました。

2012年の改正で変わったこと

まず、法律の名称が変更され、「派遣労働者の保護」が明記されました。
また、以下のように規制強化の方向で改正が行われました。
・ 日雇派遣の原則禁止
・ グループ企業内派遣の8割禁止
・ 離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することの禁止
・ マージン率などの情報提供派遣料金の明示
・ 派遣先企業の社員との均衡への配慮
・ 派遣会社の派遣スタッフへの待遇説明の必須
・ 派遣スタッフの希望があった場合、期間の定めのない雇用へと転換

さらに、派遣の適用対象業務が26から28に拡大されました。

2015年の改正で変わったこと

それまで曖昧だった労働者派遣の位置づけが、「派遣就業が臨時的・一時的なものであることを原則とする」と明確化され、以下の項目について改正が行われました。
・ 一般労働者派遣事業(許可制)と特定労働者派遣事業(届出制)の区別の廃止
・ すべての労働者派遣事業が許可制に

また、派遣労働者の雇用安定とキャリアアップについて、人材派遣会社に以下の事項が義務付けられました。
・ 派遣労働者に対する計画的な教育訓練
・ 希望者へのキャリア・コンサルティングの実施
・ 派遣期間終了時の派遣労働者の雇用安定措置
➢ 派遣先企業への直接雇用の依頼
➢ 新たな派遣先企業の提供
➢ 労働者派遣事業者での無期雇用
➢ その他の安定した雇用の継続を図るために必要な措置を講じること

さらに、派遣期間規制が業務単位から、「事業所単位」「個人単位」に変更されました。

・ 同一労働同一賃金推進法の成立
この法律は、「同じ仕事には同じ賃金を( = 同一労働同一賃金)」という原則に基づき、斉射金と派遣社員との賃金や待遇の格差を是正する目的で立法されました。
・ 労働契約申込みみなし制度の開始
この制度は、派遣先企業が違法な派遣と知りながらも派遣労働者を受け入れている場合、派遣先企業が派遣労働者に対して、派遣労働者が派遣会社と結んでいる雇用契約と同等の条件で直接雇用契約の申込みをしたものとみなす制度です。制度の設置は2012年ですが、猶予措置として2015年の10月1日から施行されました。
なお、違法な派遣とは以下のようなものを指します。

・ 禁止業務への派遣
・ 無許可、無届出の派遣会社からの派遣
・ 派遣期間制限の違反

3年?5年?混同しがちな派遣のルール

問題:「人材派遣は何年同じ職場で働けば直接雇用されますか?」

答えは 3年です。しかし、中には5年と答えてしまう人も少なくないのではないでしょうか。
5年、というのは契約社員における期間制限なのですが、ここを混同してしまう人がわりと多いようです。
また、同じ人材派遣業でも、紹介予定派遣では6ヵ月と期間制限が異なります。
この違いを明確にして、混同しないようにしましょう。

総括

人材派遣業はその制度だけでみれば歴史の浅い業種ですが、戦前からあった「人貸し」と呼ばれる業が現代の派遣ですから、実はそこまで新しい業種でもないのです。
当時は中間搾取や強制労働の温床となっているという背景があったからこそ、「労働者派遣法」という制度をもって派遣労働者を保護しようとしたのです。
1986年の制度化以降は、徐々に洗練され規制が緩和されていきましたが、2008年のリーマンショック以降、派遣切りや雇い止めが問題となり規制強化の流れになっていきました。
今後も規制の強化こそされなくても、規制が緩和されることはしばらくなさそうです。しかし、「労働者の保護」のための規制強化の流れであることから、正しい方向に向かっていると考えて良いのではないでしょうか。

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参考サイト

労働者派遣を行う際の主なポイント―厚生労働省

労働者派遣法と関連する規制の変遷 – BIZLAW

vol.1「改正派遣法の概要」2015年派遣法改正10のポイント |はたらこねっと

最新の労働者派遣法30のルール | 派遣の仕事・人材派遣サービスはパソナ

労働者派遣講座│労働者派遣の基礎知識│【1】労働者派遣の基礎知識 6 労働者派遣法の歴史

よくわかる講座 :3.人材派遣の歴史 – 『日本の人事部』

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